PSM山形戦から船越アルビの26-27シーズンを妄想する

26-27シーズン

 

シーズン直前のこの時期は無責任になんでも妄想できるから楽しいすね。ずっと開幕前ならいいのに。

 

ボールはある程度持ちたいし、ハイプレスというほどではないけどドン引きもしないよというチーム同士の対戦。ということで選手やチームのクオリティが同じくらいならどっこいどっこいになりがち。そういう意味では1点差ゲームで終わったのは納得感があった。失点は安かったけどまあPSMだし。

その中で何をやりたかったのか、を考えてみようの回です。

 

整理されてきたボール保持

山形戦でまず印象に強く残ったのは、ボール保持をしようという気概が明確になったところ。バウマンが蹴っ飛ばすシーンがほぼなく、ショートパスで後ろから繋ごうという意識が現れていた。

これは意欲の面だけでなく、実際に選手のポジショニングも整理されているように見えた。SB、時々SHがタッチライン際に立って横幅を取り、相手がコンパクトに構えてきたら外側を、食いついてきたら内側をという形で、うまく相手の届きにくいところを使ってボールを前に進めていた。

この試合ではさほどハイプレスを受けなかったが、山形がハイプレスをかけてきた時にもFWやSHが受け手として良い角度とタイミングで顔を出し、そこを経由で逆サイドに展開するなどして前進できていた。山形の方が新潟のプレスを受けて蹴っ飛ばすシーンが多く、そのロングボールも新潟の最終ラインがうまく跳ね返したり回収しており、ボール保持の完成度では(予想外にも)新潟の方が上回っている感覚だった。

あえて注文を付けるならばパススピードと精度のところ。優大や舩木がSBへの展開するパスはインサイドでやや弧を描きながらスーッと通っていて速さも美しさもあったが、ほかの選手はちょくちょく球速が弱かったり、意図が少しずれたパスになってしまっていた。ビッグスワンのピッチならまだしも、荒れたピッチ状況もあり得るわけで、正確に確実に味方に届ける意識を持っていきたい。

 

ラスト30mの攻略法

丁寧にボールを持つチームにとって難しいのがラスト30mの攻略だが、ここでもチームとしての狙いが見えた。キーワードはサイドのローテーションと早めのクロス。

SBとSHはビルドアップの段階から連動して内側と外側を使い分けるが、ミドルサード以降ではここにCHも加わってローテーション。ポジションを入れ替えて相手を引き出しマークをずらし、その隙を突く狙いを見せていた。

特に左サイドは顕著で、加藤-シマブクの2人が自在にポジションを変えて相手を攪乱したところに大西がパワフルに突っ込んでくる形は掴みどころがなくワクワク感がある。反撃の狼煙を上げた1点目はまさにその形。

また2点目もシマブクが相手CBを引っ張り出したことで空いた背後に若月が走り込む形で、大外に佐藤、内側にシマブクが立つからこそ中央の道が開けた、というシーンだった。このように1人が相手DFを動かし、動いたことで生じるスペースを別の人が使う、という連動が染みついてくれば崩しの手詰まり感はなくなってくるはず。

 

また、アーリークロスについては百年構想リーグの今治戦から急に蹴り始めたが、この試合ではチームとしての狙いがあるようだった。よく見えたのはこの形。

  • CBやCHから大外高めの位置に張り出したSBにボールを届け、相手のスライドが間に合う前にGKとDFの間へとボールを滑り込ませる
  • SB-SHのコンビネーションにCHが加わり、ペナルティエリア角付近でボールを受けた選手がゴール前中央~ファーの選手めがけて届ける

これも左の方が目立っていて、シマブクや大西の右、加藤の左とバリエーションがあるのも推せるポイント。百年構想ではターゲット役が準備不足なシーンもあったが、この試合ではクロスを上げそうな時点で桑山と笠井が動き出しており、精度とタイミングが合ってくれば得点源になりそうな予感。崩すのも狙うけど早く攻められるなら攻めちゃおうぜ、というのは船越スタイルっぽいというか。

 

そして3点目は前でハメてからのショートカウンターという昨季からの形だったわけで、継続しながら攻め手を増やそうぜを地で行く内容だった。これが全部ブラッシュアップされたらば面白いチームになりそうだな、と感じさせるようなゲームだった。

 

守備対応の改善点

それでも4失点しているわけで、守備対応についても考えてみる。

この日の守備のやり方としては、前4枚で中央のパスコースを塞ぎつつプレッシャーをかけ、中央で受けようとする相手に対してはCHやDFが出ていって捕まえようという形。ただ、山形のSBが上がってくるのでSHがこれについていってやや下がるケースが多かった(左のシマブクが下がり気味なのに対して右の仁は高めだった、これは狙いだったのかどうなのか)。

ここでSHが下がりすぎてしまうと、FW-SHの間口が広がってしまい、斜めにクサビを差し込みやすくなる。こうなると相手は簡単にブロックの内側に侵入できてしまい、こちらのCHやDFとしては対応が後手後手になってしまう。そのため、できればSHは高めの位置に留まりながらパスコースを切る対応がしたい。

 

また、CHより後ろの人たちはポジションを出ていって相手にアタックしようという意識が強い分、そこをかわされてしまうと空けたポジションが穴になる。この日の1、2失点目はこの形から。

1失点目では右サイド深い位置で奏哉と優大が出ていったのに奪いきれず、代わりに前田がゴール前を埋めたが、その連鎖でぽっかり空いたバイタルからミドルを打たれてしまった。2失点目では大西が相手を捕まえようと前に出たところでその背中側のスペースを使われ、その分奏哉が前に出たもののボールを奪いきれず、奏哉のポジションを埋めに回った大西はクロスに対しての体勢が悪く跳ね返しきれなかった。

失点シーンに限らず、この日はルーズボールの競り合いや寄せの鋭さが物足りなかった。前半は特に顕著で、50:50のボールを相手に拾われた結果相手に押し込まれる時間帯が増えてしまった。マイボールにできなければ後手後手の対応が増えるし、当然ゲームコントロールは難しくなる。もちろん開幕2週前というコンディション面でのエクスキューズはあるが、リーグ戦本番では局面での強さ鋭さを高い水準で求めたい。

また、百年構想の時よりも全体の重心を上げて攻めるため、攻→守の切り替わりの場面で後ろが手薄になる怖さがある。CHの1人がサイドに加勢するなら相方は真ん中に、片方のサイドで攻め込んでいるときは逆のSBは自重するなどのバランス感覚が肝になる。このあたりは選手同士でコミュニケーションを取り、チームとして対応できるようになりたい。

 

雑感

この試合を観ての個人的な感想は、「”1人1人が1/11として攻守にタスクを全うする”という、一見シンプルだけど全員の理解力が必要なやり方にトライしていて、それが想像以上に形になっていることへの驚きと期待」でした。百年構想初期のバウマンとモラエスに祈るチームと同じ体制というのは信じがたいけども、徐々に徐々に変化してきたこのチームの歩みの延長線上にあるな、と不思議と感じられるのもまた事実。

そんな期待感もある一方、この試合で局面のクオリティを発揮したのは山形だったし、勝負をモノにする上での力強さやしたたかさみたいなものは感じられず。ぱっと見の今の印象だとプレーオフ争いに加わるグッドチームっぽい感じ。

もちろん開幕前なので理想に振り切ってしまうのは悪くないし、なんなら開幕から数試合はそれでもいいくらい(松橋アルビはそうだったし)。今は完成というよりは一つの解を出す期間で、5月に一番良い順位でいるためにどんな最適解へ持っていくかという長い旅になる。半年のリーグの中でチームを変えていった船越監督がこの先1年間でどんな舵取りをするのか。3バックの可能性もチラつかせる指揮官の選択とチームの歩みを楽しみに見ていきたい所存。

 

カギを握る選手たち

このシーズンを戦う上でここが気になるよね、というところをつらつらと。

信頼と強気のDFライン

今の船越アルビがコンパクトでハイラインなブロックを敷けるのは、信頼できる4枚のDFがいるからこそ。守備時の判断が安定していて、最後まで粘り強く対応できる加藤-舩木-優大-奏哉の並びには任せられるなという感覚がある。彼らとCHの選手を中心に積極的にコミュニケーションを取り、守備の方針を定めていきたい。

特に優大と舩木の2CBは配給の面でも重要な役割を担う。2人ともサイドを変えるロングキックはもちろん、グラウンダーで中に刺すクサビも強気に狙っていく。これによって、相手からすればサイドだけでなく中央も警戒が必要になり、的が絞りにくくなる。もちろん4失点目に繋がるようなパスミスもありえるが、2人が強気をなくしてしまえばこのチームの戦いの幅は限られてしまうだろう。彼らのすれば、より骨太なチームになっていくはず。

 

桑山と前田:新たな個性

それぞれに存在感を発揮した新加入組。桑山は収めたりサイドに流れたり飛び出したりで前線の起点となる仕事を器用にやっていた。それでいてゴール前では点取り屋の動き。得点シーンで見せたように、目でボールを追いながら半身をゴール方向へ向けて呼び込むアクションを何度も繰り返していた。また55分に仁の当て損なったボールをワンタッチで合わせたシーンのように、ファーに逃げる動きで瞬間的にマークを外すことができる。彼が欲しいボールを味方が理解し、シュート時の判断も上がってくれば自然と得点を重ねそうだな、と期待したくなるプレーぶりだった。

また前田もよく顔を出しよくボールに絡んでいた。ボールを受けて少し運んだり、ファーストタッチでフェイクを入れることで相手にリズムを掴ませないあたりはさすが。彼が持つと自然とチーム全体の目線が集まるような感覚もあり、ハマると面白そうな雰囲気がある。ただこのチームだとCHの運動量仕事量が多くなりそうなので、うまく味方に任せるところは任せつつ、DFの前のバランサー兼フィルターとしてアジャストした姿が見たい。

 

ゲームチェンジャーは誰か

この試合のベンチメンバーは前の人が少ない代わりにGK+4DF+2CHを組めるという、百年構想でよく見たバランスの悪い陣容。コンディションなのか前の人がなかなか揃わないのは気がかりではあるが、逆に言えば誰もが食い込む余地がある。

今や頼もしい存在になってきた若月はもちろん、得点力のモラエスにパワフルなイウリ、帰ってきたダニーロなど個性の強い選手たちが揃う。もちろん、前の面子が不足した場合にはこの試合のようにプレスの圧力を高めて、不思議な得点力を発揮する白井に賭ける手もあるし、前田を途中投入して繋ぎのリズムを変えていくのもありだろう。

これは一つの試合だけに限らない話。対策のサイクルが早くなっている近年のJリーグでは、1つのやり方の完成度を高めるだけでは行き詰まりのリスクがあり、試合を進めながらチームを作り変えて伸ばしていくことがリーグを勝ち抜くうえではほぼ必須になってくる。スタイルを単純にバルクアップさせるだけでなく、今ある余白や弱みをどう扱うか。冬の遺跡動向も含めて注目したい。

 

最後に大宮戦に向けたメモを。リアタイできないんですけどね(どうして)

  • 攻→守で強く来る大宮のプレスをいかに搔い潜るか、逆に後ろから繋ぐ大宮を捕まえてショートカウンターを打てるか
  • コンパクトな大宮のブロックをサイドから揺さぶり、狙ってチャンスを作れるか
  • 個人の打開力があるウイングの抑え方、強気に前に出るのか引いて構えるのか

 

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