ミッション コンプリート |J2第24節 vsFC町田ゼルビア 2020レビュー

2020シーズン

 

やあ!アルビレックス新潟ニッチな記録マンだよ!

今節町田戦の鄭大世のハットトリック達成により、アルビレックス新潟は3年連続でハットトリックを記録したよ!それもすべて秋!

2018/9/8   vs岐阜  5-0 河田篤秀 3得点
2019/10/5 vs鹿児島 6-0 レオナルド 4得点
2020/10/4 vs町田  4-0 鄭大世 3得点

でも、遡ってみると意外な事実。新潟でハットトリックを達成したのは過去に10人。その内8人がそのシーズン限りでチームを去っているんだ。更に言うと残り二人の内の一人、川又堅碁も翌年夏に移籍してしまったよ…

 

というわけで、新潟でハットトリックを達成した選手は翌年は見られない可能性が高いということがわかってしまったよ。今回達成した鄭大世も…ちょっと厳しそう…

このジンクスを破る選手が現れること、アカデミー出身者がハットトリックを達成することを夢見て、また来年秋お会いしましょう!ニッチな記録マンでした!

 

目次

1.マッチレビュー

メンバーはこちら。

新潟はスタメン3人変更。4節から20試合連続スタメン出場していた舞行蹴ジェームズが前節腰を痛めた影響もあってかメンバー外。鉄人新井が左CBに入り、右SBは2試合ぶり先発の田上が務めた。

対する町田の変更は一人。ステファンが14試合ぶりに左SHとして先発。北九州との激戦から中3日の試合だが、やはりメンバーはほぼ変えずに一戦必勝の意気で臨んだ。

 

①町田の手には乗らぬ新潟

ボールを保持して試合をコントロールしたい新潟と、ボール奪取に優れた選手を擁しカウンターに強みのある町田。予想通り、パスを繋ぐ新潟に対し町田がプレスで追い込んで奪おうとする展開に。

 

4-4-2の陣形で並ぶ町田の選手の間を取るように3-1-4-2の形をベースとしてビルドアップを行う新潟。これに対し町田は前線からガンガン追うことはせず、センターサークルを基準にFWがポジションを取り、片方のサイドに追い込むことで奪うタイミングを見定める。町田の狙いは次の通り。

①新潟の左右CBへのパスを起点に安藤がプレッシャーをかけてプレススタート
②平戸は新潟アンカーへの、SHはブロックの内側へのパスコースを消してサイドへ誘導
③新潟SBにボールが渡ると平戸とSHがサイドへ圧縮するように中から寄せる
④CHとSBも加わり同サイドに閉じ込め、ミスを誘いボールを回収

町田はCH、SBに佐野、奥山、小田らボール奪取に長けた選手がいるため、サイドで奪うべく中央を締めたブロックを形成した。

このブロックに対し、新潟は町田がボールを奪いたいところに真正面から突っ込むことは避け、パワフルなFWを活かすロングボールを狙う。ファビオ、ロメロが町田SBの背後へ走り込んで、あるいは中央で長いボールを受けてキープしながら前進し、町田のコンパクトなブロックをまずはパワーで押していった。しかし、前までボールは送り込むもチャンスシーンまではなかなか至らず。

 

そして飲水タイム付近で方針変更。高木がトップ下、ロメロが左SHのようになり、前線の形が2-2から3-1となった。これにより狙いがDFの背後のスペースからブロック内部のスペースへと移行。一人が町田CHを引き付け、その背後にできるスペースをもう一人が狙う形が増加。

序盤で背後のスペース狙いをちらつかせておき、町田の守備ブロックが少し間延びした間のスペースを突く狙いだったと考えられる。前線の形が同様に3-1となった前々節甲府戦よりも中央のスペースでの選手の連動が改善しており、ゴールへ近づく場面は序盤より増えた。

 

また、町田のプレスを受けてサイドにボールが移った際、新潟の選手は安易に逃げることなく落ち着いて繋ぎ、相手の寄せをかわして一旦逆サイドへ展開するなどができていた。守備からリズムを掴みたい町田に対して簡単に術中にはハマらず、ボールを握りながら試合を進められていた。

 

②サイドから押し切れない町田

一方の町田。ストロングポイントであるカウンターを仕掛けたいところだったが、新潟は簡単にボールを渡してくれず。またパスを繋ぎながら後方でバランスの良い陣形を保つことで奪われた直後のカウンターに備えたポジショニングをしているため、カウンターの際に加速するためのスペースがない状況だった。

 

よって、町田はサイドから新潟の守備ブロックを崩すことを狙う。ビルドアップは新潟のように変形はせずシンプルで、ワイドに開いたSHが新潟SBの背後へランニング、ここにボールを送り込んで前進。

最後の1/3に入るとボールサイドのSB、SH、FWがコンビネーションから突破にかかる。ゴール前には逆サイドのFW、SHの2枚が必ず入っており、バランスよく配置されていた。

キックの精度の高い平戸が右に流れ、後方からCH髙江が時折前線に顔を出したため、右サイドを中心に崩す狙いを見せた。良い形も作っていたものの、パスのズレや DFの対応もあり新潟の最終ラインを破りきれず。

31分には安藤の背後への飛び出しから大チャンスが生まれるも、平戸のシュートはゴール目前で田上がクリア。最大の決定機を防がれ、その後は疲労もあってか押し込む時間を作れなくなっていった。

 

③お株を奪ったカウンター、輝き放ったストライカー

絶対的ストライカーのいない町田はセットプレーに勝機を見出す。町田はセットプレーからの得点(10得点)、得点に占めるセットプレーの割合(41.67%)と共にリーグトップ(24節終了時点)。この日もコーナーキック時にゴール前に7人を送り込むなど積極的な姿勢を見せた。

しかし、新潟はこれを逆に利用する。45分、フリーキックを素早く蹴った町田だが、うまく繋げずボールロスト。この時町田は2CHが前がかりになっており、 DFラインとの間にスペースが横たわっていた。新潟がこのスペースにいたファビオへ素早くボールを送り込むと、DFを背負いつつポストプレーで高木へ。ここで一気に加速し、中島が決めきった。町田のお株を奪うような見事なカウンターで先制。

 

リードして折り返した新潟は後半開始から2人変更。左サイドが本間、早川のコンビとなり、本間が大外から仕掛けるように。彼を1人で止められないことは周知の事実。ということで町田はSHが下がって数的優位で対応。

しかし、これにより町田の右サイドは守備の時間が増え、前に出る馬力が弱まってしまう。新潟が64分に右SHとして大本も投入し、右からも積極的に仕掛けさせると、町田としては左右にスライドして対応する場面も増え、さらに体力ゲージが削られる結果に。

 

そして足の動かなくなっていく町田を仕留め役を担ったのが鄭大世。「うまくいかなくて序列が下がっていった」歴戦のストライカーが遂に本領発揮。

まずは1点目、町田のコーナーキックから一気にカウンターを仕掛け、中島のグラウンダークロスをきっちり沈める。続いてGKへの甘いバックパスを見逃さずプレッシャーをかけてPKゲット。これを自ら沈めて2点目。そして3点目。スーパーボレーで締めくくり。このシュートは彼がGKからのロングボールを競って福田に繋いだところから生まれており、自らしつらえた舞台で自らを輝かせた。

カウンター、前線からのプレス、長身FWへのロングボールと相手にとって嫌なことを手を抜かずやり続けたからこそ達成されたハットトリック。要所を締め、相手を疲れさせるプランを遂行しきった新潟がホームで久々に3ポイントを積んだ。

 

 

2.試合結果

新潟 4-0 町田

得点者 新潟 45+1′ 中島 元彦、77′, 89′, 90+5′ 鄭 大世
得点者 町田

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball Labへ。

 

 

3.雑感

「試合が決まるのは後半だと予想していた。町田が連戦をほぼ同じメンバーで戦い続けているがゆえに、疲労がたまっていると予想していたので、今日は彼らを走らせて疲れさせるために前からプレスを掛け、積極的に飛び出していくことを狙った。」

「後半、選手にはさらに早く動かして相手を疲れさせ、サイド攻撃を狙うということを伝えた。」

―アルベルト監督―

新潟がプランを完璧に遂行しきった。試合内容だけを見れば結果ほどの差はなかったかもしれないが、選手たちの肉体的、精神的な余裕には大きな差があったのかもしれない。アルベルト監督が常々言う「ゲームコントロール」での勝利だった。

 

町田の組織的なプレッシングに飲み込まれなかったことは新潟にとって大きかった。序盤でプレスにハマってしまえば主導権を明け渡す可能性もあった中で、相手の出方を見ながら安定して保持できたことでまず余裕ができた。

また、時間をかけて繋いで攻撃することをベースとしつつ、ここぞというタイミングでカウンターを仕掛け、2度とも仕留め切った点もグッド。強いチームはポゼッションもカウンターも上手い。カウンターの刃を磨き、さらに穴のないチームへと力を高めていきたい。

 

漸く5連戦を終え、次の週末は順位が一つ上の京都との対戦。上位対戦でポイントを落とし続けた前半戦の反省を活かし、ここから上位陣へ殴り込みをかける一戦にしたい。

 

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