J2第35節 vs鹿児島ユナイテッドFC 相手を見る

2019シーズン

2012/9/29 新潟 5-0 名古屋 @東北電力ビッグスワンスタジアム
2018/9/8 新潟 5-0 岐阜 @デンカビッグスワンスタジアム

秋の新潟、そして歴史は繰り返す。

 

1.試合結果

新潟 6-0 鹿児島
得点者 新潟  18′, 36′, 64′, 73′ レオナルド  20′ 渡邉 新太  81′ オウンゴール
鹿児島 なし

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball Labへ。
ハイライト動画もどうぞ。

 

 

2.マッチレビュー

スタメンはこちら。

画像1

新潟はスタメンに2人の変更。いつも右SHのフランシスに代わり至恩がキャリア初の先発で左SHに。いつも左SHの新太が右へ移動。そしてこの男がビッグスワンのピッチに、選手として戻ってきました。右SB早川史哉先発! 彼がプレーする姿を見られるだけで尊いものに感じられました。

対する鹿児島も2人の変更。2試合ぶりにGKはアン ジュンス、そしてボランチは平川に代わってニウドが入りました。4連敗をどうにか食い止めたいところ。

 

①バイタルのその先へ

残り8試合で柏、甲府、水戸、岡山ら昇格争い組と福岡、町田、岐阜ら残留争い組と対戦する鹿児島。熾烈な残留レースの中でも非常にシビアな戦いの連続を強いられる彼らは是が非でも勝ち点を持ち帰りたいはず。その姿勢は前半開始からプレーに現れます。

 

鹿児島はトップ下の酒本が上下動することで4-2-3-1↔4-4-2に変形しながら強めにプレッシング。マイボールになればDFラインからボールを繋いで積極的に保持する姿勢を見せます。SBを高い位置にあげ、二列目の選手がバイタルエリアに積極的に侵入することで新潟の4-4のブロックを広げつつ中へのパスを狙います。

特にタテパスを入れる意識が高く、スペースがない中でも強引にバイタルに刺すようなパスを出すシーンが多くありました。

鹿児島攻撃1

新潟としてはこのパスをうまくカットしたいのですが、鹿児島のほうが数的優位であるために全てシャットアウトすることは困難でした。金監督が昨年まで率いていた琉球との対戦時にもこのような形でバイタルを使われたため、金監督らしいやり方といえましょう。

しかし、バイタルエリアを使うのは次への布石のためなのです。彼らが本当に狙いたかったのはゴールエリアの両脇の「ニアゾーン」、或いは松田浩氏の言葉を借りれば「ポケット」と呼ばれるエリアなのです。

鹿児島攻撃2

このポジションでボールを持つことで守備陣はボールとゴール前の相手選手を同時に視野に入れづらくなり、得点の可能性が高まるのです。FWだけでなく逆SHまでもこのエリアへ侵入し、ボールを受けてゴールの目の前にマイナスクロスを流し込む形を何度も狙ってきました。惜しいシーンは何度もありましたが最後の最後で体を張れるのが今の新潟。ゴールは割らせません。

 

このようにして序盤から積極的な姿勢を見せる鹿児島に対し、リーグ屈指の得点力を誇る新潟が徐々に牙をむき始めます。

 

②相手を見てプレーすること

立ち上がりこそ鹿児島の勢いに押される格好となった新潟も、少し時間がたてば落ち着いて試合を進められるように。鹿児島のプレッシャーの前にも慌てずにパスを繋いでいきます。鹿児島の守備陣形が前節対戦した水戸と似ていたこともあり、攻撃時の狙いも前節と似たものになりました。というわけで簡単な解説。図は水戸戦の記事と似たものになるので割愛。

・前線からプレスを掛けられる
→前掛かりになった裏をDFやボランチからのパスで突く

・鹿児島は自陣ではDFライン、MFラインの2ライン形成
→左右に揺さぶって空いたサイドから攻める

新潟が敵陣に侵入した際のポジショニングはメンバー変更に伴い少し変化。シルビーニョが主に右寄りに位置したため、ボールはいつもより右で回るように。この時多く見られたのが、シルビーニョがSB裏を突く動き。少し内寄りに位置する新太、試運転気味のため無理に高い位置を取らない史哉の動きとうまく合わさることで裏を取り、CBやボランチをつり出すことで空いたスペースを新太らに突かせることができていました。まさにこの形から生まれたのが3点目。2枚の図でgifにしました。

新潟3点目

このように相手を見て、うまく相手を引きつけてから空いたスペースを連動して突くことで効果的な攻撃を繰り広げました。この日は特に選手たちが落ち着いて相手を見ることができていたように感じます。その筆頭は史哉。久しぶりの出場ながらもブランクを感じさせぬ冷静なプレーぶりは、彼がチーム全体に良い影響をもたらしたのではないかと思われるほどでした。

 

一方の鹿児島は、守備時に人やボールにつられる傾向が強く、スペースを空けてしまう場面が散見されました。3点目のシーンも、CBとボランチが同時にSB裏でボールを受けたシルビーニョにアプローチしてしまい、ヒールパスを受けた新太に簡単に抜け出されてしまいました。

相手を見てプレーすることはもちろん大事ですが、守備時に相手ばかり見てしまうと後手に回ってしまうのです。この部分の差が試合を通じて両チームの間に横たわっていました。

 

③どうにも止まらない

前半のうちに大きなビハインドを背負うこととなった鹿児島は3失点目直後の37分に選手交代。右SBの藤澤に代えてアタッカーの五領を入れ、右SHだった萱沼を右SBに。これまでの攻撃に加え、新たな狙いを見せます。

左利きでキック精度の高い五領は右サイドから左足でインスイングのクロスを供給。FWのルカオをメインターゲットにし、ゴール前に人を送り込んでゴールを狙います。それに加えてポジションを下げた萱沼は五領が内に入って空けたスペースにオーバーラップし、ニアゾーンを狙うパスを出すなど攻撃のバリエーションが増加。

鹿児島攻撃3

こうして後半序盤は鹿児島が押し込む時間が続き、シュートを連発するもネットは揺らせず。

決めきれない展開は長く続かず、次第に新潟のターンへ移行。

 

SBが高い位置取りをしたということは、後ろに大きくスペースが空くということ。新潟は前回対戦よろしくSB裏を突くカウンターで4点目をゲット。鹿児島は後ろの準備が不十分なまま飛び込んでしまったので簡単に前進を許しました。ただ非常にきれいなカウンターだったので、新潟の選手たちを褒めずにはいられません。

 

その後も両SHを交代させて生き生きとカウンターを仕掛けた新潟。途中からフランシスはずるい。さらに鹿児島は集中力を欠いたのか後方での繋ぎにミスが出始め、新潟が前線のプレスでボールを奪って攻める展開も。アウェーチームは韓勇太も投入し一矢報いようと攻めるも、どうしてもシュートが枠に飛ばないまま終戦。チーム状況の差がくっきり表れる試合となりました。

 

 

3.おわりに

史哉の復帰戦でレオナルド4ゴール、無失点でのホーム連勝とアルビサポには幸せてんこ盛りセットの試合となりました。やはり前述の二人に目がいきがちですが、ここでは至恩についての監督コメントを取り上げます。

交代出場で得点に絡む。練習試合でも得点する。トレーニングの中でも攻守でスタメンに値する活躍が見られた。当然、フランシス選手もそうですけど、競争の中で、今ベストな11人を選びました。 ― 新潟 吉永監督

これまでわずかな変化がありつつもほぼ固定メンバーで戦ってきたこのチームですが、ここにきて競争が熾烈になり、良いチームに仕上がってきたことがうかがえます。

 

2017、2018シーズンと秋から調子を上げているこのチームは、今年の秋も調子を上げています。「ようやくかよ」「またかよ」というツッコミはこの際置いておきます。秋は紅葉、オレンジの季節。今年のアルビも紅葉とともに、燃え盛る炎のような勢いで秋を駆け抜けていきましょう!

 

 

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