久々に新潟に退場者の出たゲームとなったこの試合(出オチ)。赤紙が久しぶりすぎて気になったので調査。
- 公式戦→2018/4/4 ルヴァンカップグループステージA第3節横浜F・マリノス戦、79分に岡本將成が退場して以来
- リーグ戦→2017/2/25 J1第1節広島戦、82分で矢野貴章が退場して以来
こんなにも久々だったとは。なんか退場してそうな人とかいた気もするんだけど(ド偏見)前回がJ1というところにしみじみとくるものがあり…
まあ至恩にはしっかり反省してもらって、プレーヤーとしてもう一歩大きくなるための糧にしてほしいところ。逆に言えば、”新潟で” まだまだ修行が必要だということ。わかりましたかそこに隠れてるスカウトの皆さん。はい帰った帰った!そこにいるJ1サポも、見せもんじゃねーぞ散れ散れ!!
連戦の中日で休めることをポジティブにとらえつつ、2試合後にエネルギー満タンの輝きを見せてくれることを期待して待ちましょう。
1.マッチレビュー
メンバーはこちら。
新潟は前節からスタメン2人変更といつもより少なめ。左脛疲労骨折から復帰した小島が開幕戦以来の先発返り咲き。更に田中達也、森俊介が今季初のベンチ入り。競争激化中。
一方の山口は5人変更。CBのサンドロは今季初出場。勝ち星が遠い中で浮上のきっかけを掴みたいところ。
①完璧な30分
新潟、山口友にボールを持ってアタッキングに仕掛けたいチーム。というわけで常に「後ろからでも繋ぎたいvs前からプレスかけて奪いたい」の構図となる。その中で序盤からゲームをコントロールしていたのが新潟。ビルドアップはいつも以上に安定感があったが、それを支えたのは久々の出場となったGK小島。
小島はビルドアップ時にペナルティエリアを出るほど高い位置取り。両CB、アンカー位置に入る中島とひし形を形成することで数的、位置的な優位を維持。丁寧にボールをコントロールし短いパスを繋ぐことで山口FWのプレスを交わしていた。
更に小島は機を見てロングフィードを送り込み、山口の高い最終ラインの裏狙いもちらつかせた。
前節まで出場していた藤田もパス能力はGKとしては高い。しかし、小島は彼以上に安定感があり、迫りくるFWのプレスに対してフェイクを入れて逆を取るほどの余裕を見せていた。彼が高い位置を取ることでCBに向いていたFWのプレスがGKにも向き、CBのマイケルやマウロにも余裕が生まれるという相乗効果も生まれていた。
安定して前進した新潟はゴール前に至るための糸口を探る。この時効いていたのがポジションチェンジ。SHとFWで縦に入れ替わる、SBとSHで横に入れ替わることでマンツーマン要素の強い山口の守備に混乱とスペースを生み、間のスペースにパスを差し込むことで攻略していった。2点目はまさにこの形から。
右ではロメロ、渡邉新太の推進力を活かし力強く、左では本間至恩の仕掛けにSB新井がインナーラップでかき乱し、序盤からチャンスを何度も演出。
また、ボールを奪われた後のプレスも素早く、山口が急いで前に出したパスは中島が絶妙なポジション取りで回収。守備ターンを限りなく減らし、波状攻撃を繰り出していく。
こうして完全に新潟の試合に持ち込み、流れを活かして2点をゲット。開始30分は結果、内容ともに完璧と言って良いほどであったが、ここからにわかに不穏な空気が流れ始める…
②ワイドな狙いと数的不利に翻弄される新潟
2点を取ったことで精神的にも優位に立った新潟だが、ここから少し色気を出してしまう。前線の選手が足元でボールを要求する場面が増え、DFの背後を狙う場面が減少したのだ。新潟が攻撃の深さを取れなくなったことで山口はボール奪取が狙いやすくなり、36分にはパスカットからのショートカウンターで1点を返す。そのまま山口が流れを手繰り寄せていく。
山口は最終ラインから繋ぐ際、一旦片方のサイドに人数を集める。あくまでこれは前段階であり、狙いはこの時に空く逆サイド。新潟FWの背後でパスを受けたボランチが一気に逆サイドに構えるSHに繋げることで、相手を揺さぶりながら一気に前進、ゴールへとスピード感をもって向かっていく。
コンパクトな4-4-2でプレスをかける新潟相手にサイドチェンジが上手くハマり、好機に繋がった場面は何度か。また、サイドチェンジがダメならそのままサイド突破!ということでSHの選手が仕掛けるシーンも。
新潟としてはコンパクトな陣形を何度もスライドさせるのは避けたいもの。ということでサイドチェンジさせないようにボールホルダーに強く寄せるが、勢い余ってファールになるシーンが増加。球際で激しく!が監督のオーダーだったのだろうが、これが一因ともなって50分に本間が2枚目の黄紙で退場。
これ以後は完全に山口が数的不利の新潟を押し込める展開に。しかし、これが逆に山口としてはやりづらくなる。
新潟は4-4のブロックを自陣に敷き、下がりすぎないようにしながら揺さぶりに対してスライドで対応。新潟に引かれてしまい、山口の前線にはスペースがなくなったことで必殺サイドチェンジはうまく効かず。サイドで数的優位を作ってクロスを上げる場面が増えるも、シュートまでは至らず。前線の選手を矢継ぎ早に投入したが、数的優位になってから放った最初のシュートは86分とかなり苦戦してしまった。
アディショナルタイムにはCKからバー直撃のシュートを打たれるも、交代枠を使いながらなんとか逃げ切った新潟が勝ち点3ゲット。45分間辛抱我慢を続けたホームチームの勝利に終わった。
2.試合結果
新潟 2-1 山口
得点者 新潟 17′ マウロ, 29′ ロメロ フランク
得点者 山口 36′ 浮田 健誠
詳細なデータはJリーグ公式サイト、Football Labへ。
3.まとめ
開始30分の輝きに対し、なかなかしんどい戦いとなった最後の45分。振り返ればいい流れの中で2点目を取り切ったことが非常に大きかった。最近は1点勝負を勝利に持ち込み切れていなかっただけに、これを継続できれば大きい。この試合もCKの流れから得点しており、セットプレーで点を取れるチームはやはり強い(2週連続n度目)
前半の終わりごろ、コントロールを失った時間についてのアルベルト監督のコメントは興味深い。
--前半2点取ったあとに、コントロールを失った理由は。
守備の問題で失ったわけではない。攻撃の奥行きを失ったがゆえに、コントロールを失った。われわれのようなプレースタイルを志向する際、パスをつなぐことに喜びを感じ過ぎて足元でもらう傾向が強くなる。まさしくそういうミスを犯してしまった。前半、足元ばかりで受ける選手が多くなってしまって、背後に飛び出す選手が減ってしまった。
攻撃ターンと守備ターンは表裏一体。相手を敵陣深くに押し込めば相手は攻めるのに時間がかかる。しかし、足元の繋ぎに固執するとインターセプトを狙われショートカウンターを受けやすくなる。守勢に回る要因は守備だけにあるわけではない、というのがサッカーの面白いところ。「攻めさせないための攻撃」をチームとして共有していきたい。
- 待望のアンカー 中島
この男は本当に底が知れない。SH、ボランチとそつなくこなしてきたが、この日はビルドアップの際にアンカーに入り、小島とともに安定してボールを前に運んだ。小島の安定感も見事だが、それを引き出したのは中島だったとも言える。
GKからのパスを後ろ向きで受けてクイックにターン、そのままドリブルで持ち運び前にパスを繋ぐ。なんてことないように見えるが、①相手のプレスを掻い潜るパスを引き出し、②空いたスペースを持ち上がって相手を引き付け、③前方の選手が動くスペースを作りながら前に渡す、ということを一人でやってのけるのだから恐ろしい。強引にゴリっと抜き去ることもできてしまい、すでにチームに欠かせない存在となっている。
中島や荻原、帰ってきた小島に加えゴメスとファビオが戻ってきたらどんなチームが出来上がってしまうだろうか。妄想が期待で膨らんでしょうがない。とりあえず中島には新潟で家を買ってもらってゆっくり過ごしてもらいましょう。
今のチームにできる最高のパフォーマンスだったと言っていい序盤30分。これを何度でも見れることを期待しつつ、中2日での試合で連勝を。