J2第16節 vsヴァンフォーレ甲府 迷える謙信

いわゆる「川中島ダービー」であります。このダービーは自分としてはどうでもいいダービーランキング6位ぐらいに入ります(あるけん調べ)。ちなみに1位は「オレンジダービー」、2位は「天地人ダービー」です。

1.試合結果

新潟 0-2 甲府

得点者 新潟 なし
甲府 12′ ウタカ 54′ ドゥドゥ

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball LABへ。

ハイライト動画もどうぞ。

 

 

2.マッチレビュー(前半)

スタメンはこちら。

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監督交代後はずっと4-2-3-1だった新潟ですが、この試合は4-4-2に。これまでと大きく違うのは、2トップどちらもFWタイプを入れてきたことと、高木のボランチ起用。そのため大はベンチに。それでいいのかカピタン!

対する甲府は3-4-2-1。試合前の実況者の話によれば、グアルディオラを手本とする攻撃サッカーを展開するそう。どれ、お手並み拝見といきますか(謎目線)

 

甲府は守備時に5-4のブロックを形成するため、自然と新潟がボールを保持する展開に。しかし、5-4-1といえどラインを下げないのが甲府のサッカー。新潟のSBをシャドーが監視しつつ、ボランチにボールが渡れば甲府のボランチが飛び出してプレスに。簡単には前進させません。

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また、SBにボールが渡った時がプレスのスイッチ。SBにシャドーが寄せ、それに連動してチーム全体をスライドさせることで前方封鎖。裏のスペースにも簡単には蹴らせず、新潟は再び後方で回す羽目に。

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とはいえ、常にプレスをかけるわけではありません。夏のような日差しの中、ベテランの多い甲府に湘南の走って死ぬサッカーの真似は無理。となれば、撤退も使い分けるのは理にかなったもの。

特に甲府のFWのウタカは点取りマシーンおじさんである分、守備はかなり免除されています。彼の両脇には大きくスペースが空くため、これによって新潟は前進可能に。

 

しかしここから新潟は壁にぶち当たります。甲府の5-4ブロックがマジで堅い。もちろんのこと中央は堅い。サイドに振っても、シャドーが全力スライドで新潟のSBに対応し、時間とスペースを与えない。特に献身性が光ったのはドゥドゥ。得意でないはずのディフェンスも、ペナルティエリア付近まで戻って行います。スキがない。

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…と甲府を褒める論調で書いてきましたが、新潟が最善を尽くしたかというと、そうではない。問題は2トップです。二人がそろって裏ばかり狙う動きをするので、ブロックの間のライン間で受ける人がいなくなるのです。バイタル空洞化です。

この二人が凌磨や新太と入れ替わるなどすれば活路は見いだせそうなのですが、彼らが横に動いたり下がったりすることが少ないせいで、流動性がなくなってしまうのです。自らが動かなければ相手を動かすことはできません。結果、中央は使えず、サイドも奥までえぐれない。アーリークロスを入れても相手は5バック。よって手詰まり状態となってしまいます。

 

こうなればミスやこぼれ球をかっさらってカウンターを仕掛ける甲府。狙いはウタカとドゥドゥ。ウタカのキープ、ドゥドゥのスピードによって、特に新潟の右CB直人、右SB尚紀の間のチャンネルを狙います。ドゥドゥは尚紀がバチバチにやり合ってどうにか奮闘していましたが、ウタカは裏抜け、下りてボールキープ、と見せかけターンから突破など、質的優位の権化でした。この二人でカウンターを完結させられるんだからたまったものじゃありません。実際に先制点もこのコンビから生まれました。

 

カウンター後のスローインからの流れ、甲府の選手がフリーでクロスを上げた瞬間、カウエ、大武の二人はボールウォッチャー。ボールが動く間にウタカが二人の目を忍んでゴール前に侵入し、2人が気付いて慌てて戻るころには楽々ゴールゲット。守備の枚数はいるけど決められること多くないですか?特にカウエさんはボランチなんだからもっとスペースを守れるように頑張ってください。人につられすぎです。

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守備では5-4のブロックを形成して隙を見せず、攻撃に転じれば強力な外国人によるカウンターで仕留める。誰だよペップって言ったの!どっちかと言えばモウリーニョじゃないか!J2必勝法ずるい!

 

まあカウンター一辺倒というわけでもなかったんですけども。繋ぎの安定感もあったので、簡単にボールを失うことはありませんでした。特に両ボランチのポジショニングに新潟は苦しみました。

右に陣取る小椋は2トップの間に位置取り、ここで何度もボールを受けていました。この日の2トップはボランチをケアする意識が希薄だったので、何度もCBからのパスを受けていました。また、左ボランチの横谷は左ハーフスペースを上下に動き、新潟のプレスの基準をずらすことでスペースを得て、裏へのボールなどを供給していました。

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甲府には総合力の高さを感じました。チームとしての狙いが共有されている印象。一方の新潟はちぐはぐな印象で、狙いがぼやけてしまっている感じでした。ボール支配は新潟、ゲームの支配は甲府という前半でした。

 

 

3.マッチレビュー(後半)

後半の初めは前半の続きといった内容で、特筆することはなし。ただ、甲府はアタッキングサードに近い位置でもうまく繋いでいた印象が強かったです。相手選手の間のポジションを取って繋ぎ、新潟の選手が捕まえられぬままゴール前まで運ばれるシーンがいくつかありました。ここら辺はペップみを感じました。

 

そして甲府の二点目。まあ泰基の守備もいただけないのですが、もっといただけないのはゴール前の守備。これだけ人数がいながら、2人もフリーに。新潟って最終ラインに人を置く意識は強いんですけど、その手前のスペースをケアする意識が弱いです。間違いなく。この試合で2回もやらかしたので、しっかり修正してくださいね。

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後半も60分を過ぎれば甲府の運動量は落ちてきました。シャドーの運動量が半端ないので致し方なし。これによって新潟は全体を押し上げて攻めるようになり、SBは高い位置どりをするようになります。また、68分にシルビーニョが入り、ライン間を出入りしながらボールを引き出したので中も使えるようになりました。

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そして、この時に見られたのが ”3オンライン”と”サイ”です。詳しくはこちらの記事へ

https://birdseyefc.com/tactics/theory/3online/

簡単に言えば、ボールを持った選手とそれ以外の2選手が一直線に並び、真ん中の選手がそこから抜ける動きです。62分、66分と立て続けに見られたので、ある程度仕込まれたものではないかと思います。

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そもそも、5-4-1を崩す際には左右のCBを狙い所にするのがいいとペップも言っています。5バックの場合、4バックの時に比べてスライドの必要がないため、味方をカバーする意識が低くなります。よって、左右のCBを引き出してそのスペースを使ったり、彼らをピン止めして裏を使ったりすれば、カバーが遅れてゴール前の守備が混乱しがちなのです。

つまりこの攻め方は理にかなったものなのです。この崩しを見たときは興奮しました。ついにアルビにもロジカルな崩しが!

…しかし、その2回のうちシュートにつながったのは1回のみ。またその後は同じ形は再現できず、大外からクロスを入れる攻撃に終始。

しかし貴章が交代し、ターゲットがレオナルドしかいない状況ではクロスを入れても詮なし。終盤には直人→至恩の交代によってCBカウエ、アンカー高木のファイヤーフォーメーションにしたものの、崩せない、ターゲットいないではどうしようもなく。カウンターを食らいながら終戦。監督のダンディーさでも大差をつけられ、完敗でありました…

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4.まとめ

甲府は個の能力もチームとしての力も上でした。また甲府は新潟よりも自信を持って戦っており、そこが勝敗を分けたとも感じました。この負けは致し方ない部分はあれど、もう少し奮闘してほしかった。いい部分も少しありましたが、それ以上に悪い部分が目立ち、この戦いを続けていたら昨季のようにズルズルと負けを重ねてしまうでしょう。

前から言われていたことですが、チームを締める存在がピッチ上で見当たりません。この日の2失点は相手のカウンターから相手スローインになった直後、交代直後の相手FKのこぼれ球からの流れと、集中が途切れやすい時間のもので、防ぎようはあったと言えます。こういうところで簡単に失点していては、上には上がれません。今一度「走れ!ニイガタ流儀」を徹底してほしいところです。

次の岐阜戦で嫌な流れを変えてくれると信じ、僕は現地参戦して声援を送ります。去年のこの時期に長良川で逆転負けした嫌な思い出も振り切り、90分間闘い続ける姿が見たいです。

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