J2第1節 vsザスパクサツ群馬 風吹きぬ  2020レビュー

2020シーズン

明けましておめでとうございます。遂に新シーズン開幕であります。待ちに待ったー!

…そして中断でございます。ふざけんな!

全部コロ…じゃなくてCOVID-19のせいだ。

(よく訓練されたアルビサポならご存知でしょうが、スポンサー様である株式会社コロナ様は只今苦しい状況かと思われます。英語表記を使うよう心がけましょう。)

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1.マッチレビュー紹介

今期もこのコーナーを設けて参ります。様々な人からの視点で振り返っていきましょう!そこで見ている暇な学生さんも、やってみないかい?

(同じ試合のマッチレビューを見かけた方がいればご一報お願いします)

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2.マッチレビュー

メンバーはこちら。

メンバー2

両チームとも監督交代にメンバーが大きな入れ替わり、開幕スタメンは読みにくかった…

群馬はスタメン7人が新加入。センターラインを務める経験豊富な選手を軸に久々のJ2の戦いに挑む。

一方の新潟も5人新加入。新外国人を中心としてJ2にスペインの風を吹かせたい。

 

①左の繋ぎ、右の槍

強烈なからっ風が吹いた正田醤油スタジアム。両者強風に悩まされた中、戦前に予想された通り新潟がボールを持ち、群馬が構える展開に。

スタート時の陣形では群馬にプレスをかけられやすくなってしまうため、新潟はビルドアップ時に3-3-2-2のような形に。各選手の動きは次の図の通り。

ビルドアップスタート

ボランチは状況に合わせてCBの位置まで下りたり、下りなかったりを使い分け、うまく群馬の2トップによるプレスを回避していました。ボールの供給役はアンカーに入る秋山ではなく開いたCB、特にマイケルがメインに。2トップ脇からドリブルで持ち出して前進。

この先の形は左右で異なります。主にボールが回ったのはマイケル、ゴメスが揃う左サイド。

左サイド

左ビルド

前線の左サイドは前後で入れ替わる形が多め。シルビーニョはFWの位置から少し下りてパスを受けに行き、LSHのロメロはダイナミックに前へ走り込みます。

群馬が守備時にマンツーマン気味で対応し、CBの渡辺がほぼシルビーニョ番のようにしてマンマークで張り付くため、この2人の関係性が特に効果的でした。シルビーニョが広く動きながら後ろ向きのボールをめっちゃキープし、次へと繋ぐことで新潟のペースを続けることができていました。

 ゴメス

右サイド

右サイドビルド

※gifです

左に対し右サイドでのボール保持の場面は少なめ。流動的な左サイドに比べ、右は役割が固定的に。

右サイドのポジショニングのキーワードは「アイソレーション」。RSB大本のスピード、突破力、クロスを活かすため、敢えて彼を孤立させてサイドの大きなスペースを与えるのです。

それを引き出すのはRSH善朗のポジショニング。彼はDF-MFのライン間の住人となり、ディフェンスの手の届きにくいところに位置取りします。そして彼がパスを受けると、群馬のLSB、LSHは内側に絞って対応せざるを得なくなる。これにより右サイド大外にスペースが生まれ、大本に繋いで右で加速!

大本

群馬としては全体をサイドにスライドさせるのではなく中央に構え、ボランチやCBが中央で奪い、アンカー脇を素早く突く攻撃に転じたかったのでしょう。

しかし、新潟が前線の選手を中央に多く配置したため、真ん中の受け手が多く的を絞り切れない印象でした。そのため、徐々に押し込まれる展開に。このようにして新潟による縦のスピードを意識した攻撃が繰り広げられました。

史哉

向かい風の前半も強風に負けじと何度も前進していきましたが、ゴール前では群馬の壁に阻まれてしまいました。ゴール前の崩しについてのお話は後ほど…

將成

マウロ

②新たなる中盤の支配者

追い風でゲームをスタートさせた群馬ですが、前述の通り守備から試合に入ります。

攻撃に転じれば2トップの進、大前にまずボールを収めさせ、そこから全体を押し上げる形がメインに。ボランチの宮阪が絡むとチャンスが生まれそうな雰囲気となり、大前との間で早くもホットラインが開通しそうな予感。

しかし、ボランチがボールに絡む機会はなかなか増えず。これは新潟の前線の選手が中央に陣取ったことと、プレッシングの意識の強さが起因となっていました。

ゴンサ

新潟はボールを奪われた途端に数人が連動してボールホルダーに強くプレッシャーをかけ、他の選手はパスコースをふさぎつつコンパクトな陣形を形成。これにより中央では隙を与えません。

また守備において存在感が光ったのは新加入のウルグアイ人ボランチ、ゴンサロ ゴンザレス

  • MFとDFのライン間を的確に埋める
  • パスコースを読んで次々にボールをカット
  • ビルドアップ中に奪われ、アンカー脇のスペースを突かれそうになっても素早く対応
  • こぼれ球にもいち早く反応し、カウンターを阻止

まさにリスク管理の鬼

さらに対人に強いCBのマウロが前に出てボールを取りに行った際は、彼が空けたスペースを堅実に埋めます。互いの強みを生かし、補い合う様はさながらレアル・マドリーのカゼミロとセルヒオ ラモスのよう。バルサ流を持ち込みながらレアルっぽさも持つスペイン欲張りセット。

マイケル

群馬は新潟のプレッシャーを前に落ち着いて繋ぐことができず…かといって素早く攻めようにも一人で攻め込めるほどの個の力を持つ選手はおらず…集中力高く対応する守備陣の前にボールロストを繰り返す結果に。

こうして、試合を通して

新潟がビルドアップ→ミスを群馬が奪う→新潟が素早く取り返し攻めこむ→群馬がボールを奪う→新潟が取り返す→…

という繰り返しの展開に終始しました。そして、後半に風の援護を受けた新潟がさらに圧力を強めることとなるのです。

秋山

島田

③相手を動かし、ゴールへの道を作る

ビルドアップは狙い通りにできたものの、前半はシュート2本で終了。その理由はいくつか挙げられます。

シュートが増えなかった理由考察
  • 群馬がDF、MFの8枚で人数をかけて守った
  • 新潟のFW、SHが中央に固まったため群馬のブロックを広げられなかった
  • 向かい風のためスピードアップしにくかった
  • 追い風に乗った相手のカウンターを警戒した

矢村

攻撃時はサイドに人数をかけなかったため、最後はクロス千本ノックのようになりました。特に右サイドは大本が孤立気味で、相手を崩しまくる形には程遠いままハーフタイムとなりました。

善朗

追い風となった後半からはSHがサイドへ流れる場面も増加。また、試合終盤にかけて群馬が少し重心を上げたことにより、GKを使っての繋ぎも増えました。

これが綺麗に結実したのが2点目。その展開をgifでご覧いただきます。

2点目

昨季から見られたLSBゴメスのインナーラップですが、今期も勝負所で火を噴きました。相手が疲れからか連動したポジショニングを取れなかったことが一因ではありますが、見事に相手を動かし、スペースを作り出しました。

もりしゅん

前半の戦い方については、試合後コメントで「向かい風の影響を考え、全体をコンパクトに保つことを意識した」との話が出ており、意図的に前線を中央に密集させたと考えられます。

また、後半についてもコメントが。

追い風になった後半に狙ったのは幅を取った攻撃。    ― アルベルト監督

後半は追い風の勢いのままに攻め急ぎ、コンパクトさを失うことを避けるために幅を取ることを意識したそう。狙い通りの形を作れていたと言えるでしょう。

至恩

前半のように無理に前からプレスをかけず、ブロックをしっかり形成する相手とには打つ手が少ないようですが、前からガンガンくる相手にはやれそうな雰囲気が漂っています。前者については今後に期待!

ファビオ

新太

3.まとめ

最後の決めきる部分で苦戦したように見えながらも結果は3-0の快勝。ただ、やはり選手たちも前半は難しさを感じていたようで。

前半は向かい風の影響があったので、しっかり耐えようとチームで話して、後半にチャンスが来ると思ったので、プランどおりだったと思います。  ― 渡邉新太

前半、チームは向かい風に苦しんだ。ボールが流れたり止まったりしていた。後半は追い風を利用できた。勝利につながったことは大きい。  ―ファビオ 

チームとして耐える時間、勝負する時間を共有できていたこと、それに合わせて戦い方を微調整していたことが伺えます。そう考えると、狙い通りの試合運びができたと言えましょう。

マンジー

前半は耐える時間と想定しながらも、ハイラインを保ち、トランジションで圧倒して流れを簡単に明け渡さなかったのは見事と言えます。トランジションと守備面には余力を残しているような戦いぶりで、より強大な相手と戦う際が楽しみです。

一方の攻撃ですが、コンパクトさを重視したとはいえ、もう少し別のやり方も考えられたのでは、とも思います。群馬という相手に力で押し続けたからこそ取れた得点でもあるので、攻めのバリエーション、得点までの形が見えるとより安定して勝ち点を積めるチームになるはずです。

 

完成度の高さと伸びしろの両面を披露した開幕戦。正田醤油スタジアムに吹き荒れたのは、からっ風ではなく、越後山脈を越えてやってきたスペインの風でした。この風はその後J2を、日本全体を包み込むことになるのですが、それはまた、別のお話。

 

 

4.試合結果

群馬 0-3 新潟

得点者 群馬
新潟 82′ 渡邉 新太 86′ ロメロ フランク 88′ ファビオ

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball Labへ。

 

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