第1節 vs京都 所信表明演説  2019レビュー

目次

はじめに

新シーズンあけましておめでとうございます。J2さん今年もよろしくお願いします。

率直に言えば今年であなたとララバイしたいです。関西の紫の鳳凰さんや関東の黄色い犬さんではなく、イニエスタさんやトーレスさんとの対戦が見たいのです。金Jを開催してみたいです。代表戦でうちの選手が躍動する姿を見たいです。タイトルを取る姿を一度でいいから見たいです。

そんな思いで迎えた2019シーズン、第1節・第2節の相手を京都・千葉にしてくれるところに、現実逃避するアルビサポに正気を取り戻させてくれる日程くんの優しさを感じ、タイヘンカンゲキシテオリマス。

 

片渕アルビの何シーズン目かよくわからない今シーズンの飛躍の軌跡をこのブログに書けると信じて、マッチレビュー頑張りまっす!  

 

 

1.試合結果

京都 0-0 新潟

得点者:皆無

詳しくはJリーグ公式サイトアルビレックス公式サイトへ。

ハイライト動画はこちらから  

https://www.youtube.com/watch?v=SLOFJIXP44g&t=263s

 

 

2.マッチレビュー紹介

マッチレビューを読み比べると面白いなと思い、他の方のブログを参考に今回このコーナーを設けました。今のところほかのマッチレビューは2つしか見つけていません。あまり検索かけていないので、どなたか教えてくださるとありがたいです。

とめさん→ https://www.tomex-football.net/entry/2019/02/27/183000

グロッケンさん→ https://note.mu/giriguro_alex/n/ndcedb819795c  

 

 

3.マッチレビュー

スタメンで特筆すべきは、大卒ルーキーが計4人も出ていたこと(上夷、冨田、中野、新井)。そしてその四人とも、浮足立つことなく堂々とプレーしていたこと。大学サッカーのレベルの高さが垣間見えます。

試合は戦前の予想通り、ボールを持つ京都に対し、ブロックを作りながらボールを奪ってカウンターを狙う新潟という構図。

京都

  • 攻撃:ポゼッションによるビルドアップ
  • 攻→守:リトリート
  • 守備:ゾーンディフェンス
  • 守→攻:ポゼッションの確立

 

新潟

  • 攻撃:ダイレクトなビルドアップ
  • 攻→守:リトリート
  • 守備:ゾーン+マンマーク、機を見てプレス
  • 守→攻:縦志向

 
(この辺は『モダンサッカーの教科書』の中の「分析のフレームワーク」を参考にしました。解釈が合っているか怪しいので、参考程度に。)

 

前半開始直後、京都はビルドアップの段階で苦しみ、なかなか前へボールを運べませんでした。その理由は、新潟の前線からのプレスにありました。

①京都のビルドアップ時の陣形と新潟の前プレ

(青矢印:プレス 緑矢印:選手の動き)

図①のようにCBが少し開き、10庄司が間に落ちてきて頻繁にビルドアップに関わっていました。

ただ、庄司がJ2屈指のマエストロであることは周知の事実なので、ほったらかしにはしておきません。新潟のFWがマークしたり、時にはボランチが出てきて対応していました。

こうして、序盤は新潟がかなり重心を前にし、プレスをかけて前線でボールを奪うことを狙ってきました。そこに京都の繋ぎのミスも重なり、新潟がショートカウンターなどでチャンスを作ります。

京都がDFラインをセンターサークル付近まで押し上げられるようになったのは12分ごろになってから。ちょうど新潟の重心が少し下がった時間帯でした。

ではなぜ重心が下がったのか。それは、新潟の前プレの際の陣形に問題があったからです。

 

図①に戻ると、ボランチが庄司を見た際に、相方はバイタルの大きなスペース(黄色い網掛け)をケアしなければなりません。そして、ビルドアップの際には京都の1トップ+両インサイドハーフ(IH)はあまり関与せず、前目のポジション取りをします。よって、危険なスペースに3対3の状況ができるわけです。

実際、9分にはそのスペースにボールが出たところをなんとかカウエがカバーし、チャンスの芽を摘んだシーンがありました。

ここを何度も突かれてはかなわないということで、ボランチが庄司を見る回数は減りました。もともと立ち上がり限定で前からプレスをかけるつもりで、時間がたったから少し引いたということだったのかもしれません。

ようやく前に進めた京都。崩しの起点となったのは前述のFW+IHの3人でした。

②宮吉、仙頭、重廣のポジショニング

新潟はかなりDF-MF間を広げないよう気を遣っていましたが、このように3人がライン間で誰にも捕まらない嫌らしいポジショニングをしました。(図2)

さらにこの3人は、裏の狙いと下がって受ける狙い、そしてライン間で待つ狙いをうまく使い分けていました。ここは実に拓実でした。(図3)

③京都の狙い

図②のような動きにより、新潟の選手は図③の赤囲みの関係でマークを見ることになり、京都の前線5枚が高い位置取りをすることで完全にブロックを後ろに押し下げました。

かといって、Jリーグにありがちな「押し込んだはいいけど崩し方わかりましぇ~ん」とはならないのが一三サンガ。宮吉の落ちる動き、キープ力とIHの動きを生かして崩しにかかります。

一例を挙げてみましょう。

④61分 京都の崩し1

(赤点線:パス)

61分、庄司からの展開でボールを持った22小屋松。6サチローのスライドが遅れ、空いた黄色囲みのスペースで重廣が受けていったん後ろへ戻す。

⑤61分 京都の崩し2

このとき、先ほどの図③のマークの関係により、サチローは28冨田にプレスをかけるのをためらい、17カウエが出ていく形に。これにより黄色囲みの広いスペースが空き、そこを使った重廣とのワンツーで小屋松がサイドを突破、最終的には逆サイドに振ってシュートへつなげました。

非常に考えられた、見事な崩しでした。何度かこれに似た形があったので、しっかり仕込んできたんだろうと思います。

あれ、一三さん結構まともなサッカーやってんじゃん。インタビューもさっぱりしてるし、SNSさえなければ普通の監督じゃん。京都サポ歓喜、他サポ落胆。

 

なんか京都のことばっか書いてて、このままでは隠れ京都サポだと思われかねないのでアルビのことも書きます。

 

アルビは序盤以降は終始リトリートしてブロックを敷き、奪ったらまず裏orレオナルドヘ渡すシンプルな形。でもレオナルドが収まる収まる。去年いた重戦車とはえらい違いで、カウンターの起点になれるわ裏の狙いで脅威になれるわ味方もしっかり使えるわ。1点取ったら波に乗りそうな予感がプンプンする。守備も結構頑張る、アルビサポに好かれるタイプ。

さらに、たとえカウンターにうまく移行できなくとも、CB+ボランチの4枚で落ちついて回せる。特に新井。50分のレオナルドへのグラウンダースルーパスはエロい。地を這いながらピタリと前線へつけるパス。エロすぎた。

そんなわけで、カウンターでない形でも攻撃を作れることはわかりました。あとはフィニッシュだけというシーンも多々あったので、それほど不安はないのかなというところ。貴章の投入後はクロスやロングボールも増やしたし、攻め手をいくつか持ってるならどうにかなりそう。(筆者は楽観主義者です)

 

どっちにもチャンスはあったけどもスコアレスのドロー。まあ、ペップだって「ラスト30mまでボールを運ぶのが自分の仕事、最後の崩しは選手次第」と言っているらしいから、点が入らなくても両者悲観することはない。まだ42分の1が終わっただけだ。ここからさらに高めていけばいい。(去年これを何度思ったことか…)(筆者は楽観主義者です)

 

 

4.まとめ

両者の狙いがはっきり見られ、開幕戦にふさわしい所信表明演説が見られたなという感じです。それぞれ狙いが明確だったから、改善点も明確なんじゃないでしょうか。

 

こんな陳腐なまとめじゃつまらんので、気になった点を箇条書きで。

京都

  • ワイドの仕掛けが少なく、ブロックを横にあまり広げられていなかった。縦への仕掛けを増やすといいのでは?
  • 宮吉がボランチの間で受けた際、IHが空けたスペースに入ると面白そう。
  • SBがビルドアップであまり貢献できていない。一方、上夷は縦パス、ドリブルでの持ち運びが◎
  • なぜ闘莉王入れてもクロス放り込まなかった?
  • IHの位置取りが高く、アンカー脇は今後も狙われそう。対策は?
  • 庄司のみならず宮吉、IHも替えが効かなくなるかも。

 

新潟

  • ボランチが一枚出たときのバイタルケアをどうする?
  • CB-SB間を狙われた際の守りの優先順位。
  • 達也がいなくなった際のプレスの弱まりの改善。
  • CBのチョイス。相手が高さで挑んだら?何を優先?
  • SB、特に尚紀が攻撃に絡めるともっといいんだが…(個人的願望でもある)
  • 狭い攻撃(カウンター)が多かったが、相手をサイドに広げられる存在はいるか?

 

アルビが今やってるのは「無理のないサッカー」という感じで、しっかり優先順位を決めて、自分たちにできることを、できる範囲でプレーしているように思えます。渕さんはリアリスト。去年よりもそう感じます。

試合後に自分の中でモヤモヤが残りました。それは僕には好きなスタイルが、かつてのアルビがやっていたスタイルがあって、それを理想として求めてしまうからだと思います。そして、理想を求めるような京都の戦い方に少し嫉妬したのかもしれません。

ただ、試合分析を通して、チームのやり方を理解していくことで、少しづつ今の現実的なやり方を受け入れられるようになってきました。

 

チームとして、中途半端ではなく、はっきり狙いを持って進んでいく意志が感じられたので、このままサポートし続けたいと強く思います。

クラブにとって過渡期となるこのシーズン、ぶれずに勇往邁進してくれると願っています。

 

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