今季初の敗戦となった町田戦。「試合の入りが悪かった」で片付けられない2失点だったので、失点シーンをクロス対応の約束事から深掘り。
目次
新潟のクロス対応
新潟はクロス対応で選手の立つ位置が決まっている。最終ラインが下がりすぎないことはもちろん大事だが、肝になるのはその一列前。CHとSHのいるポジション。
簡単に説明すると次の図の通り。
彼らがちょうど良い塩梅でポジションを取ることで、最終ラインの手前を使わせない、かつペナルティエリア手前のこぼれ球を簡単に拾わせないことができるようになっている。
この約束事に関しては昨季から大きく変わっていないはずで、選手達もしっかり理解している様子。しかし、今節はそれができずに2失点してしまった。
1失点目：2CHがボールサイドでかわされた結果…
1失点目はこんな感じ。
ここから３場面切り出してみる。まずはスローインをワンタッチで繋がれてしまったところ。
ここで、CHが2人ともボールサイドに寄っている。高が長谷川のところへ強気で奪いにいった。いつもの高ならボールを奪えていたかもしれないが、そこはアーリアジャスール。ワンタッチで回避され、クロスの可能性があるタイミングで本来CHのいるエリアが空くことに。
そしてペナルティエリアへ侵入される場面。CHは結局戻りきれず、ゴール前数的同数の状況に。谷口がSHの位置ではなく、より危険なCHの管理エリアを埋めた判断はグッド。
しかし、手前を一つ埋めれば一つ奥が空く。ファーのマイナスクロスには対応しきれなかった。
ペナルティエリアに侵入されるところからはエラーはないので、改善ポイントとしてはその前の段階。島田が何も関われず、一人余る形になったのがもったいなかった。
CHが2人ともサイドに出張るなら「確実に奪い切る！」という気持ちでやらないといけない。そして、その上で”もしも”に備えて高木がCHをカバーできるようなポジショニングが取れるとなおよし。
この辺りは試合の入りから気を張っていきたいところなのだが、もっと気になるところがあったのが２失点目。
2失点目：サイドチェンジに対して攻撃を遅らせられず…
２失点目はこんな感じ。町田が左サイドから高木の背後を使って中央からプレス回避、右サイドへサイドチェンジした直後から。
ここでは2つのシーンを切り出し。まずはサイドに抜け出されるシーン。
この場面は新潟がプレスをかわされ、右→左に揺さぶられながら撤退するところ。スライド途中で守備対応が難しいため、できれば堀米のところでもう少し攻撃を遅らせたかった。縦パスを通された後の千葉のスライドしての対応、島田のCB位置を埋める判断はグッド。
このシーンでもゴール前はしっかりクロス対応ポジションを取ったが、またもファーサイドを使われる結果に。
「谷口が戻れていれば問題なかった」うん、そうだ。戦術ボードの上ならそうなる。
しかし、このシーンは右サイド端でプレスをかわされ、左サイドまで揺さぶられたことが起点になっている。しかも逆サイド展開されたところから相手を減速させられずに一気にゴールまで進まれてしまった。プレスをかけたところからゴール前のスペースまで一気に走って埋めろだなんて、そんな酷な要求に応え続けられるのは矢野貴章くらいだ。
むしろ、プレスをかわされてゴール前まで一気に前進された、そこに不安を感じる。
一体感を高めて
今季序盤のアルビはプレスをかわされて一気に加速される場面がほとんどなかった、そんな印象がある。プレスをかけるときは一気に。かわされそうなら無理せず一旦ブロックを組む。前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち続け、ピッチ中央は簡単に使わせない。そんな意思統一が図れていた気がする。
しかし最近はコンパクトさを保てず、コントロールを失っているような試合が見られる。前線が無理にプレスをかけて中盤のスペースを使われるシーンは増えている。今日の町田戦の序盤しかり、大宮戦しかり。攻撃の縦へのスピードが速くなっていた影響があるのかもしれない。
ただ、前へ前へのベクトルが強くなりすぎると、DFの背後を取ること、ボールを奪って速く攻めることばかりに意識が向いてしまう。そうするとどうなるかというと、雑なプレーが増える、もったいないロストが増える、プレスをかわされて一気に攻め込まれる。これでは我々の ”ボールを愛する” フットボールはどんどん遠のいてしまう。
ボールを奪うために一旦陣形を整える、相手陣奥深くまで侵入するために一旦後ろにボールを下げる。回り道に見えるかもしれないけれど、無闇に相手にペースを渡さないために大事なこと。それを改めて90分やり通していきたい。今季すでに何度も見せているわけだから、多少メンバーが変わってもできるはず。
「無敗」の冠を降ろして、ここから仕切り直し。11人で、チーム全体で一体感を持って、ここから再スタートを。