チーム一体の勝利 |J2第6節 vs ザスパクサツ群馬 2022レビュー

2022シーズン

 

レビュースタイルを変えてみました。よく言えば「トライしている」、悪く言えば「迷走している」ということになります。まるでサッカークラブみたいですね。ふふふ。

 

目次

あらすじ

ボールを繋いで相手を動かして攻め、コンパクトにチーム一体となって守ることを目指すという志向の近い両者の対戦は、やはり序盤から質で勝る新潟がボールを握る展開に。4-4-2の綺麗な3ラインを形成して構える群馬に対し、新潟はCBやCH中心にFWの脇のスペースを使って容易に前進。ここからボランチの手前、DF-MFラインの間、ブロックの外へボールを供給して群馬ブロックを揺さぶり、ゴールへ迫る。10分の先制点はまさに田上がFW脇へ持ち出してからのサイドチェンジが起点となり、21分の追加点もFW脇で持った堀米の刺すようなタテパスから。エース谷口の2得点で「そんな守備では堅守とは言えませんよ」とばかりに強烈なレッスンを前半のうちにお見舞いした。

自陣からなかなか抜け出せずに前半シュート0に終わった群馬はハーフタイムで気合いの入れ直し。後半開始からは一気にプレッシャーを強め、強気のラインアップで巻き返しを図る。すると新潟のミスも増え、ボール回収位置が明らかに前進。タテパスも明らかに増えてCH中心にボールが回るようになった。息を吹き返した群馬は勢いのまま50分に左サイドを突破し天笠の高速クロスからオウンゴールを誘発して反撃の狼煙。後半から入った深堀のDF裏を狙い続ける姿勢にも引っ張られ、もう一点への力強さを増していく。

強気な群馬をまともに食らった新潟も徐々に慣れて押し返し、64分には本間のバー直撃ミドル。そして67分に待望の追加点。ここで仕事をしたのも田上。ショートコーナーからのクロスを頭でねじ込んだ。これで楽になった新潟は若手も投入しつつ落ち着かせて逃げ切り体制。サイド攻撃中心に攻め立てた群馬は90+2分にロングスローから城和が押し込んだが時すでに。新潟が逃げ切りでホーム連戦連勝を決めた。

 

新潟 3-2 群馬

新潟 10′, 21′ 谷口、67′ 田上
群馬 50′ オウンゴール, 90+2′ 城和

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/032616/live/#live

 

 

PICK UP

DF〜FWまでが絡んだ2得点、出場機械の少なかった選手も出場、活躍しての勝利。これをチーム一体の勝利と言わずにはいられないでしょう!

ということでこの試合からいくつかつまみ食い。

崩しはCBから始まる

「FW脇のスペース」とは簡単に言うけれど、大事なのは使い方とタイミング。そんなお手本を示すかのような素晴らしき2得点。

この日ひたすら上手かった田上。右でパスを回している際には群馬FWの手前にポジショニングしておきながらこまめに首を振って前方の状況を確認。ボールを受けるとコントロールして一歩目でFWの真横をぐいと持ち上がる。これによりFWから真正面にプレスを受けず、かといってSHやCHが寄せるには遠いところにボールを運ぶ。そしてタテ、ヨコ、ナナメ、逆サイドまで余裕を持って見渡してプレーを選択。ここから全方向へのパスを見せていくことで群馬はどんどん的が絞れなくなり、後手後手に陥っていった。あまりにも上手く田上がここを使うから、「田上ゾーン」とでも言ってやりたくなる。

FW脇で輝きまくる田上

そんなFW脇スペース使いからの完璧なサイドチェンジが1点目。※右利きCBです。

https://twitter.com/albirex_pr/status/1507640183293763587?s=21

2点目も同じエリアのからの崩し。今度は堀米がボールを1歩分ずらしてからの斜めクサビ。プレッシャーがかからないとこちらの思い通りのタイミングで出しちゃうよ、の完璧なパスと連動だった。額に入れて飾りたいゴール。

https://twitter.com/albirex_pr/status/1507646087884025856?s=21

崩しはアタッカーだけのものじゃなく、チーム一体となって行うもの。そんな前任者の哲学も色濃く感じる2得点は、「継続」の説得力を十二分に感じさせるものとなった。

 

前向きにプレーすること

群馬のゾーンDFはここまで5戦1失点の堅守が伝わってくるオーガナイズぶりだった。DF-MF-FWの3ラインを意識したポジショニング、一人が出たら同じ列の人がそれを補完するようにスライド(ディアゴナーレ)、ボールホルダーに余裕を与えないプレスバック。ゴール前への戻りも早く、教科書のように綺麗な隊列であった。

だが、前半は前へ出る意識が弱かった。CB+CHの4人で群馬のFWを取り囲みながらパスを自在に繋ぐ新潟を前に、群馬は前線からプレッシャーをかける気を無くしてしまったようで、どちらかと言えばミス待ちの耐える陣形だった。しかしノープレッシャーの新潟はミスをしてくれず、好きにボールを繋がれては揺さぶられた。マイボールになる位置も低くなり、自陣でプレッシャーを受ける→ミスで相手ボールに→攻め込まれる の無限ループに苦しみ続けた前半だった。

CHを封じられて苦しんだ前半の群馬

仕切り直した後半は一気に前ベクトルが強まる。新潟CBへFWがプレッシャーをかけ、SHも打って変わって前へ出て圧力を強め、CHやDFラインも押し上げ。最終ラインの背後はGK櫛引が積極的に飛び出てケアする体制に。おかげで新潟のミスを誘発して前で奪えるようになり、ようやく落ち着いてボールを持てるまでになった。

ボール循環の中心である岩上、風間の2CHも輝き出す。前半こそ新潟FWにパスコースを消されてボールに関われなかったが、後半は新潟SHがプレスをかけてくるタイミングを見た城和、山中が斜めに差し込んで前方に供給、前を向いて自在に左右へ展開するシーンが増えた。後半の群馬の修正は効いており、明らかにFWの背中のスペースを使われ出した新潟が秋山を投入して火消しにかかるほどだった。

CHと共に蘇った群馬。城和と山中はずるい。

いくら慎重に中央を締めたつもりでも、ボールホルダーにプレッシャーがかからなければじりじりと後退させられてしまう。逆にリスクを負いつつも前へ向かいプレッシャーをかけるとボールを前で奪いやすいし、攻めの積極性も出てくる。人間は(物理的に)前向きに進むのが一番得意なわけで、前向きのプレーが増えるほど精神的にも前向きになれる。そんなことをこの前の秋田戦やいわきFCの戦いを思い返しながらしみじみ思ったのでした。

 

交代策から見る群馬戦の位置付け

メンバー変更がいくつかあったこと、松橋監督にしては最初の交代(伊藤→松田)が早かったことを見ても、連戦はかなり考慮していそう。就任会見で「対戦相手を分析し、ランク付けして、このチームからはこれだけの勝ち点を取る、という目標を見えるようにやっていく」と語っていたことを考えても、大きな戦略を持ってメンバー選考、ゲームプランを考えているように見える。その意味では選手を入れ替え、試しつつ勝利できた今節は目論見成功と言えそう。

田上については改めて言うまでもないと言うことで。秋山は4-4-「2」の背後を使い出した群馬CHを抑えるべく4-2-「3」-1のトップ下に入って役目を果たし、攻撃でも伊藤が退いた後で遠くなった前線と中盤の間を繋いで持ち味も出した。一方で偉大な主力中盤戦士たちと比べるとプレッシャーの強度やプレーの連続性などの差は目立った。最後の雑なファールのようなことはヤメテ… 小見は決めてほしかった。ストライカーならば…

アルベルト前監督時代に比べれば、出場機会のハードルは下がっている様子。ある程度の力があれば実戦には出られる。だからこそ、強度が高まった中でも高いパフォーマンスが出せるか?チームのためになるプレーができるか?が主力とそれ以外を分かつのだろう。競争激化は監督の望むところ。日常から奪い合ってほしい。

 

 

 

次は3連勝懸けての千葉ナイター。現地の皆さんは肌寒さにもヤケドにもお気をつけて。

 

 

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