J2得点傾向分析 2019

コラム

 

2020年がとっくに始まりましたが2019シーズンの話をしていきます。

 

 

2019シーズンレビューを書く中でなんとなく気になったことから記事を書くと宣言しました。

自分の性格上、一度宣言した手前やらざるを得なくなります。とはいえ色々あって遅くなりました。1か月もかかってごめんなさい…

新シーズンを待ちわびてお暇な方の時間つぶしになれば、という軽い感じの記事です。

 

前編の今回は得点パターンの分析をテーマにつらつら考察していきます。

※この記事は次のページのデータを基に書いています。

得点編

 

後編の失点傾向分析の記事はこちら⇩

 

1. はじめに&おさらい

まず理解していただきたいのは、これは得失点パターンから考察したものにすぎないということ。

得点というのは狙った形からも生まれますが、少なからず運の要素も関わってきます。形通りにシュートまで持ち込めたのに阻まれることも、偶然繋がった形からゴールになることもあるのです。今回はそれらの背景をバッサリ切ったデータによって分析しているので、真実とズレる部分はあることをご了承ください。

そして、全チーム分析なのであまり深く掘れているわけではありません。これに各チームを見てきた人が情報を追加していくことでさらに仕上がっていくと思います。お時間のある方は自チームについて深く考えていただいて、考察をコメントや引用RT等で補足していただけるとまた面白くなるはずです!(皆さんの視線は2020シーズンに向いているでしょうけども…)

 

簡単なおさらいとして2つのデータをご覧いただきます。J2各チーム大体わかるよ!という方は飛ばしても構いません。

1つ目はプレースタイル指標(いわゆる偏差値)です。各プレーをどれだけ狙い、実行できたかが分かるようになっています。緑背景が各項目上位3位まで、赤背景は下位3位までを表しています。

プレースタイル指標

 

2つ目は攻撃回数。ここからは各チームの戦い方がよりくっきりと浮かび上がってきます。

攻撃回数

 

簡単に解説すると…

・とにかくゴールへ早く向かおうとする(カウンター主体
→攻守の切り替わりが多く発生する
→攻撃回数も被攻撃回数も増加

・落ち着いてパスを繋いでゴールを目指す(ポゼッション主体
→試合のテンポが落ち、攻守の切り替わりが少なくなる
→攻撃回数も被攻撃回数も減少

お待たせしました!得点分析・考察開始です!

 

 

2. 得点パターン

まずは得点数から。緑背景がパターンごとの得点数上位3位まで、赤背景は下位3位までを表しています。

得点数

標準偏差は簡単に説明するとばらつき具合です。この値が大きいほどチームごとの得点数の値が散らばっていることを示します。

 

以降はパターンごとの分析・考察です。見方は次の画像の通り。

得点凡例

 

 PK

得点PK

初っ端からよくわかりません。上位チーム、下位チームについて「ゴールまで30mのエリアへの侵入回数」「ペナルティエリアへの侵入回数」を調べましたがはっきりとした関連は見られませんでした。各チームのPK獲得回数を調べれた方が見えてくるものがあるのではないでしょうか。

新潟の得点数が多いのは得点王レオナルドが9割近くのPK決定率を誇ったからでもあるので、キッカーの影響も大きいのでしょう。一方で最下位の柏はPKをもらう間もなくゴールを決めきってしまうのかもしれません。

 

 セットプレー直接

得点セット直接

岡山は上田、長崎は玉田や大竹、琉球は上門、千葉は船山と上位陣は優れたキッカーを擁するチームが多い印象です。一方でクリスティアーノや鈴木惇が決めていないのは意外です。セットプレーを直接決めることは難易度が高く、キッカーが貴重だということの裏付けになると言えます。それだけに2010シーズンにマルシオ・リシャルデスが達成した直接フリーキック7得点が燦然と輝きます(Jリーグ記録)

 

 セットプレーから

得点セット

1位の柏はセットプレーからのシュート率が1位。クリスティアーノが良質なボールを供給し、ゴール前にはオルンガ。紛れもなくパワハラです。2位の新潟にもキッカー高木、フィニッシャーレオナルドに長身CB大武と役者が揃っていました。特徴的なのが3位の金沢。セットプレーからの得点が総得点の36%を占め、戦術の一部として重要視している印象でした。ちなみに新潟は金沢戦でCKから3発食らっています…

最下位の町田はプレースタイル指標におけるセットプレーの数値は85と非常に高く、セットプレーを積極的に狙っていたことが分かります。一方でセットプレーからのシュート率は22位。2018シーズンはセットプレーからの得点が27、総得点の43.55%(共に1位)だったことを考えると、その年8ゴール17アシストの平戸がシーズン前半にいなかったことが大きく響いています。

全体として見ると総得点の多いチームほどセットプレー得点数も多く、標準偏差も全項目の中で最大となっています。セットプレーが得点数の多寡に大きく関わっていると言えるでしょう。また、セットプレー直接ゴール数上位のチームがこちらでは軒並み下位に。直接狙うよりもゴール前の味方に合わせる方が得点率は高いのかもしれません。誰か調べてほしい…

 

 クロス

得点クロス

柏オルンガ、大宮フアンマにシモビッチ、福岡ヤン ドンヒョンとハイタワーがいるところはやはり強いです。特に福岡は左サイド攻撃からの得点率リーグ1位に対して右サイド攻撃からの得点は21位。左WB輪湖のクロスにヤンと右シャドー松田が飛び込むパターンがあったことが想像できます。

少し異なるのが徳島。左サイドの杉本(4G6A)と野村(7G12A)のコンビは強力で、左サイドからのドリブル使用率、コンビネーションプレー率はともに1位、ゴール率は3位でした。左からの仕掛けがストロングポイントとなっていました…が、ご存知のように2人ともJ1クラブがお買い上げ。新シーズンはどうなるのでしょうか。

最下位となった栃木ですが、終盤戦は昨季までの町田と似たような戦い方を披露しただけに、もう少し長く続けば数が増えたかもしれません。2020シーズンもこの戦い方を続ける気配があるだけに、この値がどのように変化するか見物です。

全体としてはセットプレーからの得点に続いて総得点数との相関が感じられます。やはりクロスはゴールを決めやすいということでしょうか。クロスからの得点パターンがあるか?は得点力を測るうえで重要な評価ポイントと言えます。

 

 スルーパス

得点スルーパス

上から柏、新潟、琉球、愛媛と続きます。これだけでは分かりにくいので下位も見てみましょう。水戸、金沢、町田とプレースタイル指標でカウンターの数値の高いチームはスルーパスからの得点が少なめになっています。ここから少し見えてきました。

考えてみると、スルーパスはスペースへ出すパスです。つまりスルーパスからの得点には、ゴール付近にスペースがあることが必要条件となります。すなわち、スルーパスからの得点が多いチームは「相手を引き出してゴール前のスペースを作ることができ、そのスペースに飛び込む選手とパスを出せる選手がいるチーム」ということになります。敵陣でもボールを持つがタテやゴールへの意識が強いチームとも言い換えられます。

カウンターの際は守備陣も素早く戻るため、最終ラインの裏を突くパスになりにくく、スルーパスからの得点が伸びないと考えられます。また京都や徳島のように敵陣でも攻め急がない戦いだと、相手が全体的に下がって裏のスペースが狭まるためにスルーパスがゴールに直結することは少なくなります。

琉球は特にタテの意識が強く、守備陣のDF‐MF間に多くの選手を送り込んで数的優位を作り、タテパスを次々打ち込みました。その傾向が数字に表れていると言えます。一方で似たスタイルであった鹿児島はこの得点数が少なく、そのために苦しい戦いとなったと考えられます。

 

 ショートパス

得点ショート

1位の横浜FCは中央からの攻撃でのゴール率が1位。サイドアタックも使いながら、最後はイバ、レアンドロ ドミンゲスら強烈な外国人選手がゴール前で仕上げの役割を担った形が見えてきます。また2位の岡山は敵陣ポゼッションのプレースタイル指標の数値は44ながら、ショートパスからのフィニッシュが多い結果に。面白いのは、岡山は攻撃時におけるロングパス使用率が軒並み上位であること。前線へボールを送る際はロングパスを使うことも厭わず、仕上げにゴール前で仲間や上田、関戸が絡むことでフィニッシュまで持ち込んだということでしょう。

愛媛は敵陣ポゼッションのプレースタイル指標が59とトップ3でありながら最下位に。ビルドアップからミドルサードまで持ち込んだ先で点を取る形を作りきれなかったことが浮き彫りになっています。同様にボール保持型の京都やヴェルディ、徳島はこの得点が2桁を超えていることを踏まえると、この数字を伸ばすことが飛躍には欠かせません。

概観としてはリーグ順位で中位以上のチームは殆ど2桁以上を記録しており、得点数を伸ばす上での重要なファクターと言えます。ただ、ショートパスからの得点はゴール付近に侵入する必要があり、再現性が低いプレーになるので、どれだけ相手陣深くまで人数を掛けて攻められるかがこの数字に反映されるとも言えるでしょう。

 

 ロングパス

得点ロング

アグレッシブなスタイルの山口が1位にランクイン。ロングカウンターでのロングパス使用率が1位で、その多くにチームの要となっていた三幸が絡んでいることがデータにもはっきり出ていました。チームの中心ともいえた彼が抜けた中で新シーズンは誰が山口を牽引するのか注目です。

全体を見てもばらつきは小さく、標準偏差はセットプレー直接に次ぐ2番目の小ささとなっています。Football Labのロングパスの定義は「30m以上のパス」であるので、ロングパスがゴールに直結する場面は多くありません。だからこそ、いわゆるタッチダウンパスが出せる選手は貴重な存在とも言えるでしょう。

 

 ドリプル

得点ドリブル

京都は小屋松、仙頭の京都橘コンビの仕掛けが光り1位に。2位の徳島も杉本、渡井を筆頭に両サイド攻撃、中央攻撃、敵陣ポゼッションでのドリブル使用率がトップクラスでした。同率2位の水戸も黒川を中心に左サイド攻撃でのドリブル使用率3位と、個で仕掛けられるアタッカーの存在が大きく数字を左右していることがわかります。

また、上位チームは選手ごとの役割設定が明確なチームが多く感じられます。ドリブラーの力をより効果的に引き出すには、仕掛けられるスペースをチームとして意図的に作り出すこと、チームとして狙いを共有することが重要となります。ドリブルからの得点数上位チームがリーグ順位でも上位に入っているのは偶然とは言い切れないのではないでしょうか。

 

 こぼれ球

得点こぼれ

甲府、柏、ヴェルディと続く上位陣ですがここに関連性を見出すのは難しいです。FWの嗅覚が関わってくるのか、全体としてのポジショニングが関わってくるのか分かりませんが、映像を見れば手がかりが掴めるのかもしれません。

1つ注目したいのは栃木。全体で5位となっており、特に終盤戦はこぼれ球以外でも劇的なゴールが多くありました。こうして強運も引き寄せたことが鹿児島と同勝点での逆転残留達成に繋がったのです。サッカーのドラマティックな一面が伺える項目と言えます。

 

 その他 

得点その他

オウンゴール等上記以外の得点をまとめたもので、参考値です。分析不能です。

 

 

3. 全体振り返り  -得点編ー

改めて全体を振り返りましょう。

得点数

緑と赤の分布で見てみると上位ほど緑が、下位ほど赤が多く見ら、、総得点上位は様々なパターンからゴールを量産できていることが分かります。

一方で、総得点が平均以下のチームにも緑色がちらほらと。後編として失点傾向分析の記事も書きますが、失点に比べて総得点と各パターンの得点数の間の相関は小さく感じられました。つまり、得点の方が失点よりも各チームの特色が出やすいのです。

 

セットプレーでの得点を重要視するチーム、サイドからのクロス爆撃でゴールを狙うチーム、パスで相手を崩すことにこだわるチーム、突出した個の力を生かすチーム …

ゴールの守り方はどのチームも似通ったものになりがちですが、ゴールの狙い方はチームそれぞれ。ゴールへのルート作りにこそチームの色が出ると言えるでしょう。実際に試合を見る際にも、それぞれのチームが「どうゴールを奪いたいのか」に思いを巡らせるとより面白くなってくるはずです。

 

後編の失点傾向分析の記事こちらから⇩

 

 

おまけ

今回の分析で使ったエクセルデータです。使いたいという方のために置いておきます。

 

 

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