J2第39節 vs栃木SC 握ったボール、奪えぬペース

2019シーズン

2013年 6万人が詰めかけた日産スタジアムで優勝に手をかけたマリノス相手に完封勝利

2017年 ホーム最終戦で杉山浩太氏の引退セレモニーに勝利で花を添えたい清水相手に前半0-2からの終盤20分で3得点大逆転勝利

 

シーズン終盤にお祝いクラッシャーと化すアルビレックス新潟。しかしこの日は試合前にスタジアムウエディング&試合後に廣瀬浩二選手引退会見と二つに挟まれてしまい、ホームアドバンテージに屈する結果に。

アディショナルタイムのゴールで推しチームの勝利という人生最高の余興をご両人にお届けしたので、出演料として勝ち点2ぐらい貰ってもいいんじゃないですか?ギャラなしとか吉本よりひどいっすよ…

 

1.試合結果

栃木 2-1 新潟
得点者 栃木  18′ ユウリ 90+3′  田代雅也
新潟 23′ シルビーニョ

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball Labへ。
ハイライト動画もどうぞ。

 

 

2.マッチレビュー紹介

🔸hitoshiさん

僕と同じく強い気持ちで書いたことが伝わりますね…

 

 

3.マッチレビュー

スタメンはこちら。

スタメン

栃木は前節から一人の変更。6試合ぶりに浜下が先発で右SHに。前節まで右SHの川田(拳)は右SBへ。そしてチーム得点王の大黒が7試合ぶりにメンバー入り。残留への望みをつなぐべく強い気持ちで試合へ向かう。

一方の新潟のスタメンは変わらず。ベンチには来期加入の特別指定選手、矢村が初のベンチ入り。新たな切り札となるか。

 

①ビルドアップの変化

残留に向け是が非でも勝ち点3の欲しい栃木は、立ち上がりから新潟のビルドアップに対して強烈なプレッシャーをかけます。これに対し新潟はポジションを少しずつずらすことでパスコースを作り出し、パスを繋ぎにいきます。

4ビルド

ボランチは縦関係で秋山がアンカー気味
→2トップブレスに対しCB+アンカーの3人でビルドアップ

SBが幅をとり栃木のSHを外に釣り出す
→空いた内側のパスコースでSHが受ける

このようにしてうまく相手を引きつけで狙いたいスペースを突く、あるいは落ち着いて繋ぐことで栃木を走らせ、疲弊させたいという狙いがありました。

 

しかし、栃木はチーム全体がボールサイドにしっかり寄せ、鋭いプレスでビルドアップの余裕を与えません。特にSHのハードワークは圧巻でした。パスが前線まで繋がってもすぐに寄せて自由は与えず、ミスを誘って栃木のボールにしてしまいます。

栃木の勢いを正面から受ける形となり、新潟はうまく狙いが出せず。栃木は勢いのままにスーパーゴールをゲット。

 

なかなか状況が好転しない新潟はビルドアップ時に時折3バック化するように。前半の内は、新たにCB位置に入るのは秋山で、代わりにサチローがアンカー位置に。

3ビルド

こうすることで栃木の選手達の守備の基準が変わり、4バック時よりも強くプレッシャーに行けなくなります。これにより少し押し上げに成功。

 

そしてシルビーニョの同点弾は3バック化を始めた頃に生まれます。(ハイライト動画2:32〜のシーン)

CBが開き、両ボランチが空いた中央に位置取ることで栃木のマークがずれ、ゴメスが相手を引きつけて中へのドリブルからワンツーで突破。レオナルドが空けた位置にシルビーニョが、シルビーニョが空けた位置に新太が連動して走り込むことでタテに速く攻めきりました。

中央の堅い相手が外へ出てきたところをいなして内を突くという、まさに狙い通りと言える得点でした。しかしこれ以降は栃木も警戒したのか、なかなか再現できず…

 

②ヘニキ大作戦

プレッシャーをかけて奪った後の栃木の攻めはシンプルなもの。「まずはヘニキを見ろ」です。このデータを見れば一目瞭然でしょう。

https://twitter.com/MILKSATOKYO/status/1189487855032160257?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1189487855032160257&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Falkene_alb%2Fn%2Fn103417c1d441

というわけで、ヘニキvs大武というエアバトルがこの試合の見ものとなりました。

 

栃木はハイボールであれグラウンダーであれヘニキに当て、落としやフリックを周りの選手が拾うという明確な狙いがありました。ヘニキの周りには榊、大崎(川田)、浜下らスピードがあり、ボールを持って仕掛けられる選手を配置。自陣側にこぼれてもユウリがこぼれ球を拾います。

ヘニキ大作戦

栃木のプレスを見ても分かる通り、この戦い方はまさに町田と瓜二つ。狙いを持ってボールを放り込み、こぼれ球の後の展開もオーガナイズしようとする戦い方はストーミングとも言えるのではないでしょうか。

 

また、仕掛けられるSHを起点とするサイド攻撃も。この時、SHかFWの片割れがサイド奥深くをとってからのクロスを執拗に狙ってきました。この時逆SHもしっかり中に入り、ゴールを狙っています。

サイド攻撃

このようにオーバーロードすることで、ボールを奪われてもカウンターの芽をすぐに摘むことができ、何度も栃木のターンとなりました。

 

③支配率が高い≠主導権がある

支配率は高いものの前進に苦労した新潟ですが、前述の3バック化で改善に成功。しかしその先にも堅いブロックが待っていました。

 

栃木は自陣では引いてコンパクトな4-4-2ブロックを形成。中央はなかなか使えないため、サイドでボールを持つ機会が多くなります。栃木守備陣に比べ前線の高さが足りない新潟はクロスの放り込みという手段は取れず、サイドチェンジを駆使した揺さぶりが中心に。

崩し

片サイドで繋ぎ、一気に展開してスライドのズレを突形は何度か見られました。SBが大外をとったり、内側に入ってインナーラップを狙ったりと工夫が見られましたが、集中した栃木守備陣を前に決定機は生み出せず。

 

逆に栃木は後半に圧力を高めていきます。

画像7

これは先ほども出した図ですが、栃木はこのオーバーロードのサイドを前後半で変更。前半は右サイドへ、後半は左サイドへボールも人も集めました。特に後半は左サイドの仕掛けの鋭い浜下、中盤を支配するユウリ、精度の高いクロスを供給する瀬川らが強みを発揮し、執拗に同サイドを攻撃。史哉やサチローは圧力を受けて疲弊していきました。

 

新潟としても、後半は3バックでのビルドアップ時のアンカーを秋山に変更。パスの配給役になりきれなかったサチローから適任ともいえる秋山に変えることでパス回しの改善を図りましたが、終盤までハードワークの絶えない栃木を前に効果は薄いままとなりました。

 

④9度目の正直

そして試合最終盤にスタジアムが大いに沸くこととなるわけですが、これはもはや運命づけられていたようなものだと言っても過言ではないでしょう。

栃木のコーナーの狙いはヘニキ…ではなく田代・乾のCBコンビ。ヘニキ+1人がニアに走り込み、CBコンビはファーへ。精度の高い左足で瀬川はニアを越えゴール前中央へ落ちるボールを送り届けて押し込む…という形が決まっていました。

コーナーキック

この試合の栃木のコーナーキックは9本。その内7本が中央で栃木が先に触る、又はファーへボールが落ちる形でした。セットプレーでの失点数リーグ3位タイ(Football Lab調べ)の新潟に対してこれだけ狙い通りにできていれば1本は入りますよね〜 それが最後の最後というのがなんともドラマティック。結婚式の余興の筋書きとして完璧でありました。

 

というわけで劇的ゴールの後に終了のホイッスル。新潟にとっては昇格戦線終了の笛と相成りました。

 

 

4.まとめ

恒例の吉永監督のコメントから。

われわれとしても、もっとボールを持つ時間を作って攻撃をやりたかったんですけど、なかなかそこで時間を作れず、あわててボールを前に入れてしまうようなところもあって、有効な攻撃とそこからの守備がうまく出せなかった印象です。

確かに慌ててミスをするシーンは多かったです。落ち着いて繋げたらよかったのですが、こういう相手に繋ごうとするのが茨の道であることは大分の歩んできた道筋を見ればおわかりでしょう。

無理せず一回裏に蹴る、貴章を早いタイミングで入れて放り込むなどプランBがあれば良かったのですが… プランBについてはシーズン通しての課題なので今更しょうがないんですけどね。セットプレーも同様に課題であり続けました…

 

栃木はシーズン途中で今の戦いに方針転換したわけですが、素晴らしいです。場数が少ない中でもチームが意思統一できていて効果的。前線の献身性が見事です。これをシーズン頭からやれば去年の町田のように躍進できるかもしれません(今年の町田の成績はスルー…)

 

栃木に苦しめられた中でも狙いを出して得点を奪ったのは紛れもなく評価ポイントです。京都戦からの継続も感じられ、その成長が嬉しいからこそ「これがもっと早くできていれば…」とも思ってしまうのです…

残りは消化試合となるわけですが、幸いチームとして狙うことが明確化し、できることが増えています。ここからは結果に捉われず、このチームの展開するサッカーを楽しんでシーズンを締めくくりましょう。

 

 

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