J2第32節 vs東京ヴェルディ 我慢くらべ

2019シーズン

今シーズン監督交代を敢行した両者によるゲーム。前回対戦時は新潟が吉永監督の初陣で、両SBを上げて前半は押し込み攻めまくるという展開でした。その後ヴェルディもホワイト監督から永井監督に交代。今回はヴェルディがボールを握り倒す真逆の展開に。しかし結果は変わらず1-1、新潟のヴェルディ戦未勝利のジンクスも変わらず。監督やメンバーが変わっても変わらないものは変わらないんですねぇ 早いとこ打ち破ってほしいです…

 

1.試合結果

新潟 1-1 東京V
得点者 新潟  77′ シルビーニョ
東京V 52′ レアンドロ(PK)

詳細なデータはJリーグ公式サイトFootball Labへ。
ハイライト動画もどうぞ。

 

 

2.マッチレビュー紹介

🦅コストロスさん

時系列が詳細に描かれた丁寧なレビューです。

 

🦅tadさん

ヴェルディ視点でポジションチェンジの狙いについて描かれています。

パスソナー図を作った方も。双方の狙いが見えてきますね。

 

 

3.マッチレビュー

スタメンはこちら。

スタメン

新潟は前節に続きサチローと善朗のボランチコンビ。出場停止から戻ってきたカウエはベンチに。東京Vのスタメンの平均身長が171cmであることもあってか、中盤の強度はさほど重要視していないらしい。

対するヴェルディは一人の変更。前節競り合いの際に脳震盪になった森田に代わり、負傷から戻ってきた優平がカムバックして古巣戦に挑む。衝撃のデビューを飾ったJ.パライバは再び緑の閃光として輝きを放つか。

参考までに永井ヴェルディのポジションの呼び方を置いておきます。ヴェルディのHPのマッチレポートでもこれが使われていました。面倒なので僕は使いません。

画像11

 

①クローズドな展開(1)

試合はヴェルディがボールを持って押し込み、新潟がブロックを組んで低く構える展開に終始。ヴェルディの各選手のボール保持時における主な役割は以下の通り。

CF:新潟のボランチ付近まで下り、ボールを受けてからバイタル狙いやフリックさせて裏狙い
WG:高い位置で幅を取ってブロックを下げさせ広げる、大外からの仕掛け
IH:バイタル利用、チャンネル突撃
アンカー:繋ぎにおけるハブ
SB:パスの繋ぎ役、IHまたはWGと役割の入れ替え
CB:パスの供給役

ヴェルディ攻撃1

新潟はこのように押し込んでくる相手に対してはSHも下がってコンパクトなブロックを作ります。新潟の対応は以下の通り。

・下りるCFに対してはボランチの一方が、ボールと逆サイドのIHは逆SHが絞って見る
中央の数的不利を解消

・CB+アンカーの3人に前線2人が制限をかけることでパスコースを限定
→前節後半に苦しむ要因となった前線の守備の改善

・パライバに対してはSH、SBで連携して対応
→常に2対1の状況を作る

パライバにうまく1対1の状況を作られるとピンチとなりましたが、危険な場面は多くありませんでした。

 

ヴェルディはWG、IH、SBが旋回することで新潟のマークにズレを作ることを狙ってきました。ただそれほど頻繁に狙っているわけでもなく、そこからうまくフィニッシュに持ち込むこともできていなかったので、崩しの局面はまだまだ発展途上なのでしょう。

ヴェルディ攻撃2

旋回についてはこちらが詳しいのでどうぞ。

マークをずらすためかポジションチェンジも頻繁。20分にはパライバを右へ、井上を左へとWGのサイドチェンジ。40分には再び右井上、左パライバに。また、右SBのクレビーニョと右IHの山本も頻繁に入れ替わり、クレビーニョのほうがより攻撃的な姿勢を見せていきます。

 

一方で、前半にいくつか見られたのがこのシーン。レアンドロがボールをもらいに下がり、その代わりに入ってくる選手がいない、すなわちバイタルエリアに誰もいないのです。これでは裏も突くことができず、フィニッシュの局面に持ち込むことが困難になってしまいます。この場面ではブロックを広げられず、奪われてしまいました。

ヴェルディ攻撃3

↓のような裏への飛び出しがあるといいのかなーとか思いますが永井監督の狙いの中にあるのかわかりません。

 

ここまで見てきたように、ヴェルディは新潟の引いたブロックを崩すことに苦戦し、最初のシュートは27分でした。新潟の戻りが速いためにカウンターも仕掛けられず、なかなか打開の目が見つけられていないようにも感じられました。

 

②クローズドな展開(2)

一方の新潟はどう攻めたか。重心が完全に下がってしまっているので基本はカウンター、うまく前進できなければ後ろから繋いで押し上げて遅攻を仕掛けました。しかし、前半はそのどちらでもヴェルディにうまく阻まれてしまいます。

 

カウンターでは前に残るシルビーニョ、レオナルドに素早くボールを供給して早く攻めることを狙っていましたが、何度も前進に失敗してしまいます。ボール保持時にヴェルディのSBがハーフスペース付近に位置することで、ボールを奪われた直後に中央のスペースを埋めることができたからです。新潟はボールを奪った後に先細りの陣形となるため、うまく中へ誘導され、ボールを奪われてしまいました。

新潟カウンター

模式的に表せば下のようになります。新潟としては相性が悪く、前進しづらいわけです。

イメージ図

アンカーの佐藤優平が動き回るタイプのため、カウンターに移行してすぐにアンカーが空けたポジションを利用できるとチャンスになると思ったのですが、戻りが早くなかなかうまく使えませんでした。

 

カウンターを仕掛けられない時は繋ぎに移行する新潟。ハーフウェーラインまでは前進できますがここから苦戦します。ヴェルディはボール非保持の際には井上をSHの位置に下ろし、パライバを前線に置く4-4-2に変形。新潟と似ているようですが、センターサークル自陣側付近からSHもプレスをかけ、全体をコンパクトにして最終ラインは少し高めに設定。新潟はブロックの内側をうまく使うことができず、ブロックの外からの攻撃に終始。パライバを中心とするカウンターを警戒してか、ポジションチェンジはいつもより少なめでした。

新潟攻撃

強みのブラジル三銃士もなかなか輝けず、チャンス少なで前半終了。戦い方は異なれど、整備された守備とそれを打ち崩せない攻撃という両者似た内容で、盛り上がりが少ない展開となりました。

 

③いざオープン!

均衡が破れたのは50分でした。右CB近藤からの縦パスをレアンドロがフリック、裏に走りこんだ右IHのクレビーニョがゴメスに倒されてPKに。これをレアンドロが沈めてヴェルディ先制。

この場面は試合を通じても数少ないCFのフリックからの攻撃の成功事例でした。これが成功した理由はいくつか考えられますが、最大の理由はヴェルディの右サイドからの攻撃であったからではないかと考えられます。

失点

この試合のヴェルディのプレーエリアは左寄りで、ボールの供給は主に左CBの内田から。このシーンでは右からとなったことで、マークする選手が変わり、サイドの選手の立ち位置も変わります。ブロックに少しのギャップができたところにボールが入り、さらにコンパクトさが保てていない中でCBの大武がアタックしてしまったために連鎖的にギャップができてしまいました。このシーン以外では簡単にブロックの中を使わせる場面はほとんどなかっただけに悔やまれる失点でした。

 

リードされた新潟ですが、後半開始直後から裏を狙う意識を強めていました。ヴェルディがコンパクトに、高めの位置でブロックを組むため、空いたDF裏のスペースを突いたのです。特にCBからSHが内側に入り込み、裏へのボールに合わせて飛び出す形を狙っていました。オフサイドになったり、GKの飛び出しで対応されたりしてしまいますが、ヴェルディの選手たちに脅威を与えるには十分でした。

裏を警戒するヴェルディはブロックが少し下がります。すると前方でのボール保持が容易に。特にヴェルディの前線二人の運動量が落ち、あまり下がらなくなっていたので、新潟は4-4のブロックのみを相手にする格好に。ブロックの目の前でサイドに揺さぶることでブロックがスライドした際にできるスキを突きにいきます。ペナルティエリア内に侵入しマイナスクロスを上げる場面もあり、ゴール期待値が上がっていきます。

新潟後半

60分以降になるとオープンな展開が増加。ヴェルディはこれまで通りゆっくり攻めれば押し込んで攻められずに済み、カウンターも封じられるはずだったのですが、少し慌ててしまってミスする場面が増えていきました。こうなるとカウンターが生きてきます。新潟は至恩、貴章をSHに投入し、フレッシュな力で推進力を強化。ヴェルディに分があった展開を五分に戻します。

そしてその勢いのまま同点に。 77分にCKからシルビーニョがシーズン初ゴールを叩き込みました。その後も両者にチャンスがあり、新潟はカウンターから2度の決定機を得るも決めきれず。堅い展開から激しい展開へと移ろったゲームはドローで幕を閉じました。

 

 

4.まとめ

試合後の両監督のコメントから。

相手にある程度ボールを持たれる展開で、前半は攻撃にうまくいけないところはありましたけれど0-0で折り返し、後半15分以降は相手も(運動量が)落ちてくると予想されたので、なんとかその時間帯までこの展開で行って、最後(に得点を決めよう)というプランはあったんですけど、あのPKで先制されたことは1つ、われわれとしては誤算でした。 ― 新潟 吉永監督

試合は立ち上がりからわれわれのプランどおりにある程度はやれていたが、後半に入って、相手と相談しながら賢くサッカーをやることが少しできなかったのが反省です ― 東京V 永井監督

両者ともある程度プラン通りに進められたようです。まさにがっぷりよつといったところでしょうか。その中で一瞬のゆるみを突かれてしまった新潟、リードを保ったまま試合をクローズしきれなかったヴェルディというところが最終結果に反映されたのでしょう。

 

永井監督の「相手と相談しながら賢くサッカーをやる」という言葉の意味は、「リードされて攻勢に出てくる相手をよく見ていなしていく」といったところでしょうか。大勝した前節山口戦の後半にカウンターで危ない場面を作られていたことも踏まえての言葉でしょう。これはまさに新潟にも欠けている部分であり、90分の中でうまくゲームをマネジメントして勝利を得るために不可欠な物です。疲労の中でも思考は放棄せず、我慢強く戦うことが肝要です。

 

12位、13位の直接対決だったわけですが、互いに目標が遠くなる結果に。互いに残り試合が難しい戦いとなるわけですが、我慢強く継続・改善していく他ないでしょう。サポーターとしても我慢強く見守り、応援し続けたいです。

 

 

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