片渕アルビのフレームワーク分析 前編

2019シーズン

※当初予定の2倍以上の分量となってしまったため、前後編の二部作としました。「そんなに読んでる暇ねーよ!」という方は、後編の「6.データとまとめ」に簡潔にまとめているのでそちらをどうぞ。時間も読む気力もある方は、ぜひごゆるりとお楽しみください。

 

またしてもホームでウノゼロ負け…
なかなか手が進まない中ではありますが、頑張って書き進めていきたいです。強い気持ちで。

今回は、アルビレックス新潟の今シーズン、開幕戦〜第5節を通してのチーム分析です。
昨シーズン、今シーズンと片淵アルビを見た中で、どんな狙いを持ったサッカーをしているのか、ということについてまとめていきます。

実は、これは僕の所属するサッカー戦術分析ゼミ「FIゼミ」(サッカーアナライザーさん主催)の課題で、「自分の応援するチームについてのレポート」なのです。
だから、今回のブログは目の肥えた沢山の戦術ブロガーに読まれること必至なのです。ひよっこの僕はそのことに畏れを抱いていますが、ひよっこ2へのレベルアップの糧にするため、精一杯書いていきます。強い気持ちで。

 

はじめに:チーム分析のフレームワークとは

チーム分析のフレームワークは、ピッチ上で起こる現象をシステマティックに分析するための枠組みで、イタリアでは、対戦相手の分析とそこから練られる自チームの戦術設計に用いられるスタンダードな手法となっているそうです。僕はこの本でこれを知りました ↓

こちらのnoteではチーム分析のフレームワークの部分のみ購入できますのでよかったらぜひ!

 

今回はこれに従って片渕アルビを分析していきたいと思います。

なお、他のクラブについて分析している方も多数いらっしゃいます。Jクラブのまとめリストを作られている方も。

今回は特にジェイさん(レノファ山口分析)を参考にさせていただきました! ジェイさんありがとうございますm(__)m

 

 

1.メンバー、基本システム

片渕監督は昨季途中から新潟を指揮していますが、その戦い方はほとんど変わっていません。システムは一貫して4-4-2、基本的にメンバーの変更は少なく、ほとんど固定メンバーで戦っています。

今期は第5節までの5試合中4試合でこの11人をスタメンに起用しました。唯一例外だった第4節横浜FC戦も、FWが田中達也→シルビーニョとなっただけで、ほぼ変化なしでした。

 

主に起用される選手と今後のポジションの呼び方は以下のようにします。(カッコ内は途中出場の多い選手)

CF:レオナルド(矢野貴章)
ST:田中達也(シルビーニョ、渡邉新太)
右ワイド:戸嶋祥郎
左ワイド:高木善朗(渡邉新太)
ボランチ:カウエ、加藤大
右SB:川口尚紀
左SB:渡邊泰基
CB:新井直人、大武峻
GK:大谷幸輝

 

 

2.守備

守備の局面は大きく二つ、相手のビルドアップに対してのプレッシングとファイナルサードでの組織的守備に分けられます。

 

〈 プレッシング 〉・・・守備的プレッシング(+攻撃的プレッシング)

片渕アルビは、ディフェンスにおいてブロックを作って中央を閉じることを最優先事項にしています。よって、相手にボールを持たれても、無理に高い位置からプレスをかけることはありません。基本的に守備的プレッシングを採用しているのです。

下の京都戦の写真では11人全員が自陣に入っています。

このようにプレッシャーラインが下がるのは、相手が後ろ3枚でビルドアップを仕掛けてきた際に頻繁に見られます。その際の両チームの振る舞いは下図のようになります。

基本的にアルビはブロックの中へと入れさせないように、外へ追いやる形で守っていきます。FWもプレスをかけたりパスコースを切ったりすることで、強固なブロックが作られます。

しかし、ブロックの外では比較的相手を自由にするために、左右に揺さぶられやすく、その分両ワイドへの負担が大きくなっています。昨年の徳島戦では特に両ワイドが疲弊し、カウンターの場面で効果的に絡めなかった記憶があります。

 

一方、相手が4バックの際は、比較的かみ合わせが良いので、攻撃的プレッシングをかけることもあります。先日の福岡戦では積極的にプレスをかける場面もありました。片渕監督は「プレスをかける場面とブロックを作る場面とを使い分ける」ことを意識している(京都戦実況談)そうなので、時にはアグレッシブにプレスをかけていくのでしょう。

福岡戦では、相手SBにボールが入った際、ディフェンス陣の態勢が整っている場合には、ワイドの選手はプレスをかけに行っていました。この際、近い位置にいるFWはボランチへのパスコース(下図青矢印)を切る役割をし、簡単に前には進めさせないようにしていました。

ジェフ戦の1点目は、チーム全体で連動してプレスをかけた結果生まれたものでした。(再生直後が1点目のシーンです)

プレッシングのスイッチとなるのは、両ワイドや達也で、途中出場した際には矢野も加わります。

このように、守備的プレッシングをベースとして、攻撃的プレッシングをブレンドした形を採用しているのです。

 

〈 組織的守備 〉・・・純粋なゾーンディフェンス(?)

先ほど言ったとおり、強固なブロックを作ることを優先しているので、相手のボールホルダーがファイナルサード付近にいても、基本的にDFとMFが2ラインを形成するのは変わりません。

しかし、2ラインを作る一方で、それが崩れる時もあります。次の写真は福岡戦です。ボランチの一角であるカウエ(青丸)がDFラインに吸収され、5バックになっています。

なぜかというと、その直前にヤン・ドンヒョンにボールが入った際に大武が前進してつぶしに行き、青斜線のスペース(下図)が空いたため、それを埋めようとしたからです。ゴール前では絶対にスペースを与えないという意識がうかがえます。

このように、スペースの管理という意識が強く、僕としては純粋なゾーンディフェンスなんじゃないかと思っています。

正直、「これが純粋なゾーンディフェンスだ!」というのを実際の映像で見た、教わった経験がないので、合っているかはわかりません、ただ、今までアルビを見てきた中でもゾーンの意識が強い方だと思います。

 

ここで、ゾーンの意識が強すぎることの弊害も挙げておきます。次のシーンでは、2ライン間の相手にスペースを与えないようにした結果、PA前に広大なスペースを与えてしまいました。この後のシュートは外れましたが、これだけ空けるのは嫌ですね。

 

一方で、人に強く行ったために空いたスペースを使われることも何度か。下のシーンではカウエがバックパスに合わせてレシーバーにプレスをかけ、手前の京都の選手経由で見事に空いたスペース(青丸)を使われ、サイドを突破されました。

 

次の動画では、

  • 開始直後のシーンで①全体下がりすぎてミドル打たれる問題
  • 3:36~のシーンで②人に行きすぎたた結果スペース突かれる問題

が発生し、ともにシュートまで持ち込まれます。今後突かれるかもしれないので、気を付けたいポイントです。

 

 

3.ポジティブトランジション(守→攻)

ポジティブトランジションも二つの局面に分けられます。敵陣でボールを奪った際のショートトランジションと自陣でボールを奪った際のロング・ミドルトランジションです。

 

〈 ショートトランジション 〉

ショートトランジションはゴールに近い位置でボールを奪うことになるので、基本的に選手の個の力に依存します。ジェフ戦の一点目、達也のゴールがまさにそうです。今回はチーム戦術主体で分析するので、割愛します。あしからず。

 

〈 ミドル・ロングトランジション 〉・・・縦志向が強い

縦に早く攻めるか、落ちついて繋いで自分たちのペースに持ち込むかの2通りありますが、片渕アルビはまごうことなく縦志向が強いです。次の横浜FC戦のシーンを見れば一目瞭然。アルビサポが盛り上がるやつです。

ポジティブトランジションの際、今期はまずレオナルドを狙うという傾向があります。彼は常に背後を狙う動きをしており、素早く縦に突きたいアルビの狙いに合ったFWと言えます。

加えて、ボールを収め、簡単には失わない技術も持ち合わせているため、チーム全体を押し上げるのに貢献しています。ボールを持って前を向いたらまず彼を見る、くらいの感覚かもしれません。彼が得点を重ねられれば、チームの調子も上がっていくと信じています。

中締め(後編はこちら)

前編はここまで。もしも読む気力があったら、後編も読んでやってください。喜びます。

後編(攻撃、ネガティブトランジション、データとまとめ)はこちら

片渕アルビのフレームワーク分析 後編

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